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米大学が二束三文で購入のマグナ・カルタの「複製」、貴重な原本と判明

米大学が二束三文で購入のマグナ・カルタの「複製」、貴重な原本と判明

これまで非公式な「複製」と見なされていた、イギリスのマグナ・カルタ(大憲章)の写本が、実は本物の原本で、「世界で最も貴重な文書の一つ」だと考えられると、イギリスの学者らが発表した。 このマグナ・カルタの文書は、米ハーヴァード大学ロースクールが1946年に27ドル50セントで購入したもの。長年にわたり図書館で保管してきたが、その「正体」は知られていなかった。 しかし今回、中世史の教授2人が分析した結果、これが1300年にエドワード1世の治世下で作成され、のちに所在不明になったマグナ・カルタの極めて希少な原本の一つだと結論づけた。数百万ドルもの価値があるという。 調査にあたった1人で英キングス・コレッジ・ロンドンのデイヴィッド・カーペンター教授は、「素晴らしい発見だ」と語った。同教授は、ハーヴァード大のウェブサイトに掲載されたデジタル画像を見て分析を始めたという。 「これは最後のマグナ・カルタだ。(中略)汚れて色あせた単なる写しとしてではなく、世界の憲法史において最も重要な文書の一つとして、過去と現在、そしてこれからの自由の礎として、称賛されるに値する」と、同教授は強調した。 End of 読まれた記事ランキング さらに、本物のマグナ・カルタを発見したことに加え、長年にわたり誰もその価値に気づかず、文字通り「二束三文」で売られていたことにも、「まったくもって驚かされた」と語った。 ハーヴァード大の図書館収蔵記録によると、「HLS MS 172」として分類されていたこの文書は1946年に取得された。当時の競売カタログには「1327年に作成された写しで(中略)やや擦れと水染みあり」と記載されていた。 1215年にジョン王によって初めて発布されたマグナ・カルタは、臣民の自由と権利を保障するとともに、王権を法の支配下に置くことを定めた。 圧政的な支配者に対する人権の発展における重要な一歩とされており、世界各国の憲法制定にも影響を与えてきた。 マグナ・カルタは発布後、イングランド各地の州に配布され、その後1300年までの間に、歴代の王によって再発行された。 カーペンター教授と共に今回の文書を調査した、英イースト・アングリア大学のニコラス・ヴィンセント教授は、こうした経緯から、「原本は200点ほど存在していた可能性がある」と話した。 現在、1215年から1300年までの各版に由来する原本のうち、25点が現存しており、その大半はイギリス国内に保管されている。 そのほか、米首都ワシントンの国立公文書館に2点、オーストラリアの首都キャンベラの議会議事堂に1点が所蔵されている。 「マグナ・カルタは、西洋の政治思想と憲法に基づく法体制の両方における象徴的存在だ」と、ヴィンセント教授は語った。 「世界史上で最も有名な文書は何かと誰かに尋ねれば、おそらく多くの人がマグナ・カルタの名を挙げるだろう」 両教授は、ハーヴァード大の文書を1年かけて調査した結果、このマグナ・カルタが、カンブリア州アップルビーのものだと考えている。 アップルビーからハーヴァードに至る経緯には、土地所有者であるロウザー家が関わっていると、教授らは考えている。同家がこのマグナ・カルタを、1780年代の著名な奴隷制度廃止運動家トーマス・クラークソンに譲渡したとみられている。 クラークソンの遺産は複数の相続人を経てメイナード家に渡り、1945年末にフォースター・メイナード少将が、サザビーズの競売でこれを売却した。 その後、ロンドンの書店がこの文書を42ポンドで落札し、その数カ月後、ハーヴァード大が、さらに安値で購入した。 現在の価値についてヴィンセント教授は、「具体的な金額を示すのはためらわれるが、2007年にニューヨークで競売にかけられた1297年版のマグナ・カルタは2100万ドル(約30億6000万円)で落札された。つまり、非常に高額な価値があるということだ」と述べた。 「HLS MS 172」は一部が著しく退色しているため、研究者らはそのものではなく、紫外線および分光イメージングを用いて得られた画像をもとに調査を行った。 その結果、筆跡や寸法が、これまでに知られている1300年版の原本6点と一致していることが判明した。 また、文書の内容についても詳細な検証が行われた。マグナ・カルタの文言は時代とともに変化しているため、1300年版の他の原本と完全に一致する語句と語順である必要があった。 「HLS MS 172」は、この検証にも「完璧に」合格した。カーペンター教授は、文面の一致こそが「決定的な証拠だった」と説明している。 ハーヴァード・ロースクールのアマンダ・ワトソン副学長(図書館サービス担当)はこの発見をたたえ、優れた研究者にコレクションを開放することの意味を示す好例だと述べた。 「すべての学術的発見の背後には、資料を収集・保存するだけでなく、通常は見えない道筋を切り開く図書館員の不可欠な働きがある」と、ワトソン氏は語った。 教授らは、ハーヴァード大所蔵のマグナ・カルタが近く一般公開され、その意義とメッセージがより広く知られることを期待していると話した。 (英語記事 Cut-price Magna Carta 'copy' now believed genuine)

国際 BBCニュース
2025年05月15日
イオン、数万枚のマニュアルを学習した従業員向けAI端末

イオン、数万枚のマニュアルを学習した従業員向けAI端末

イオンリテールは、AIを活用した従業員向けの新端末「オールインワンデバイス」を5月29日から導入する。あわせて、生成AIを活用した従業員マニュアル「AIアシスタント」を6月より実装する。展開店舗は、関東・北陸信越・東海・近畿・中四国のイオン、イオンスタイルなど約390店舗。 オールインワンデバイスは、これまで複数の端末を使用していたシステムを、1つの端末で操作できるほか、高性能スキャン機能も備えている。内包するシステムは「AIカカク」「AIオーダー」「AIワーク」「MaIボード」「商品位置検索システム」「AIアシスタント」など。 いずれも6月に実証運用を開始する「従業員アプリ」の搭載により実現。アプリに1回ログインすることで複数システムを横断的に利用できるようになる。同アプリはオールインワンデバイスでの利用を想定しているが、端末は各店舗に順次導入されるため、既存の従業員端末にインストールすることも可能。 AIアシスタントは6月に実装される新機能で、生成AIを活用した従業員向けのチャットボット。これまで数千~数万ページにわたって文書化されていた業務マニュアルや法律を学習したAIが、従業員の質問に対して回答を提示する。顧客対応での困りごとを、新人や若手をはじめとした多くの従業員がスムーズに解決できるようになる。 初期実装では、店舗で顧客から問い合わせが多い事項に対応。イオンラウンジの利用方法や場所の案内、免税対応の仕方や免税対象となる商品、落とし物の対応。公共料金の支払い、株主優待制度の説明などで、質問に対して数秒~十数秒でAIが回答を出力する。 スキャン機能は、「文字スキャン(OCRスキャン)」「一括スキャン」「長距離スキャン」を搭載。 文字スキャンは、商品の賞味期限を読み込んで登録できる機能。登録後は最も賞味期限に近い商品の販売期限が近づくと、担当部署のアカウントでログインした際に端末に通知が表示される。何度も同じ商品をチェックする手間が省けるうえ、正確に販売期限の近づいた商品を確認できる。 一括スキャンは、カメラに映る複数のバーコードを一括で読み取ってリスト化。チラシ掲載商品の在庫数量の確認や価格を切り替える商品のリストアップなど、これまで1つひとつスキャンしていた作業を一括で行なえるようになり、作業時間が10分の1以下に削減できるとする。 長距離スキャンは、従来の光反射を利用したスキャン機では届かない位置にあるバーコードを読み取り可能。高所や平台の奥にある価格表示に記載されているバーコードを、手を伸ばさずにスキャンできる。 デバイスのケースデザインは複数色を用意。従業員が愛着を持って利用できるよう、ベーシックな色合いだけでなく、かわいくポップな色合いも用意するとしている。

政治 Impress Watch
2025年05月15日
【検証】 ガザで援助物資の配布拠点を建設、衛星画像で明らかに イスラエルとアメリカの計画に国連は反対

【検証】 ガザで援助物資の配布拠点を建設、衛星画像で明らかに イスラエルとアメリカの計画に国連は反対

ベネディクト・ガーマン、マット・マーフィー、マーリン・トーマス(BBCヴェリファイ=検証チーム) イスラエルが、パレスチナ・ガザ地区に人道支援物資の配布拠点として使用できる複数の施設を準備していることが、人工衛星画像で明らかになった。これは、議論を呼んでいる新たな計画の一環だとされる。 イスラエル政府は今年3月以降、ガザへの食料および医薬品の搬入を阻止している。 この措置について、イスラエルの内閣は、ガザのイスラム組織ハマスに人質の解放を迫るための圧力だと説明しているが、国連やヨーロッパ、中東の各国指導者は非難している。また、イスラエルはハマスが支援物資を横領していると主張しているが、ハマスはこれを否定している。 国連は、ガザ封鎖によって食料、医薬品、燃料の深刻な不足が生じていると警告している。今月12日に発表された「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」の最新報告書では、約210万人のガザ住民が飢饉(ききん)の「重大なリスク」に見舞われているとされた。 End of 読まれた記事ランキング こうしたなか、アメリカ政府は先週、ガザに複数の拠点を設けて支援物資を提供する新たなシステムを準備中だと認めた。このシステムは民間企業によって運営され、警備請負業者およびイスラエル軍によって保護される予定だという。 BBCヴェリファイ(検証チーム)が人工衛星画像を分析したところ、ここ数週間でガザ南部および中部の複数の場所で土地が整地され、新たな道路や集積エリアが建設されていることが確認された。 イスラエル政府は拠点の具体的な場所を公表していないが、イスラエル当局から事前に説明を受けた人道支援関係者がBBCヴェリファイに語ったところによると、ガザ南部に少なくとも4カ所と、北部のネツァリム回廊付近に1か所が建設される予定だという。ネツァリム回廊は、イスラエル軍が管理する細長い地域で、事実上、ガザ地区を分断している。 この計画を支援するために設立された「ガザ人道財団」は当初、食料、水、衛生用品を人口の60%弱にあたる約120万人に提供する予定だと発表していた。 同財団は14日、5月末までに活動を開始すると発表し、それまでの間はイスラエルに対し、通常のルートを通じた支援物資の搬入を認めるよう求める姿勢を示した。また、当初の計画には含まれていなかったガザ北部での支援拠点の設置も呼びかけている。 国連機関は、イスラエル政府が以前に承認した内容と一致するこの計画について、基本的な人道原則に反すると指摘。協力しない方針を示している。 国連人道問題調整事務所(OCHA)のオルガ・チェレフコ報道官は、イスラエルが「食料や燃料を軍事戦略の一環として交渉材料にしようとしている」と非難した。 「すべての支援が、軍事化された少数の拠点を通じて提供されることになる」 「そのような態勢では、ガザの広範な地域、特に移動が困難だったり、社会的に周縁化されていたりする最も弱い人々がいる地域が、支援から完全に切り離されてしまう」 国際NGOのオックスファムのブシュラ・カリディ氏も、この新たな計画を「茶番劇」だと表現した。 「どんな物流的な解決策も、イスラエルによる強制移住の戦略や、飢餓を戦争の手段として用いる行為には対処できない。封鎖を解除し、検問所を開放し、私たちに仕事をさせてほしい」 なお、この新たな支援システム案は、イスラエル政府がまだ最終承認をしていないとみられる。 BBCヴェリファイは、限られた位置情報をもとに、人工衛星画像を用いて4カ所の候補地を特定した。 これらの拠点は、ガザ内部にすでに存在する屋外型の配布拠点、たとえばエレズ、エレズ・ウエスト、キスフィムなどと、規模や形状、設計が類似している。中でも最大の候補地は、南部ケレム・シャローム検問所内の施設と同程度の広さを持つ。 人工衛星画像の分析によれば、ガザ南西部の1カ所では顕著な開発が進んでいる。この場所は現在、イスラエル国防軍(IDF)の基地となっている村の廃墟の近くに位置している。 4月初旬以降の人工衛星写真では、この場所に道路が建設され、大規模な集積エリアが造成されている様子が確認できる。このエリアは盛り土による防御壁で囲まれており、エジプトとの国境から約650メートルの地点にある。 5月8日に撮影された高解像度の画像には、約8ヘクタールにわたる土地で、ブルドーザーや掘削機が稼働している様子が映っている。また、近くの要塞化された建物には、IDFの装甲車両が配備されている。 現地で撮影され、BBCヴェリファイが位置情報を特定した写真には、敷地の周囲に照明設備が設置されている様子も確認できる。 さらに、5月11日および12日に撮影された画像では、この場所を含む4カ所すべての拠点で、開発が継続されていることが示されている。そのうちの1カ所は、8棟の国連倉庫群から約500メートル、別の大型倉庫からは280メートルの距離に位置している。 マッケンジー・インテリジェンスの上級画像アナリスト、スチュ・レイ氏は、これらの拠点が安全な物資配布センターとなる可能性が高いと認めた。また、一部の施設が「IDFの前哨ポストに非常に近接していることから、IDFが拠点に対して一定の管理権限を持ちたいという意図と一致している」と指摘した。 別の情報分析会社マイアールのアナリストらは、これらの施設がトラックの出入り用に別々の入口を備えているほか、歩行者用の出入口としても機能する、盛り土に開けられた隙間も確認できると述べた。 BBCヴェリファイの取材に対し、IDFはこれらの支援拠点に関するコメントを控えたが、「ガザでの作戦は国際法にのっとって実施されている」と回答した、ガザで人道問題を担当するイスラエルの軍事組織、イスラエル占領地政府活動調整官組織(COGAT)は、コメント要請に応じなかった。 BBCヴェリファイが特定した4カ所のうち3カ所は、IDFが新たに設けた「モラグ回廊」の南側に位置している。 モラグ回廊とは、南部のハンユニスとラファを分断して設置された、イスラエル軍の軍事地帯だ。 IDFが4月初旬にこの地域に安全地帯を設けて以来、ガザの横幅の約3分の2に当たる幅10キロメートルにわたって道路が建設されている。この道路は防御用の盛り土に囲まれ、IDFの前哨ポストが点在している。 この新設道路は、人工衛星画像で確認された開発拠点の一つと直接つながっている。また、既存の道路がさらに2カ所の拠点と接続している。 この一帯はかねて、IDFによって大規模な土地整備が行われてきた。 BBCヴェリファイは、モラグ回廊およびその南側の地域で撮影されたイスラエル軍の映像や写真の位置情報を特定している。それらには、爆薬や重機を用いた計画的な爆破作業や、建物の大規模な破壊の様子が映っている。 人道支援関係者によると、イスラエル側の説明では、支援物資はガザ南部のケレム・シャローム検問所を通じてガザに搬入される予定だという。 人工衛星画像では、ここ数カ月にわたり同検問所でも建設作業が続いており、倉庫エリアの拡張や新たな道路の整備が進められている様子が確認されている。 下の写真では、中央のバーを左右に移動させることで、2025年2月1日(左側)と同年5月11日(右側)の様子を比較して見ることができる。 イスラエルが3月に新たな支援物資の搬入を阻止して以来、国連は、国際法の下でイスラエルには支配下にある住民の基本的な生活ニーズを確保する義務があると繰り返し主張している。 一方、イスラエル政府は国際法を順守していると主張し、ガザにおける支援物資の不足は存在しないとしている。 (英語記事 Construction sites appear in Gaza ahead of Israeli-US aid plan rejected by UN, images show

国際 BBCニュース
2025年05月15日
渡米する南アフリカ白人は「臆病者」 ラマポーザ大統領が批判

渡米する南アフリカ白人は「臆病者」 ラマポーザ大統領が批判

難民認定を受けて移住するためにアメリカに渡った、南アフリカの白人59人の一団について、シリル・ラマポーザ大統領は「臆病者」だとし、「すぐに戻ってくる」と述べた。 南アフリカのアフリカーナー(主にオランダ系移民の子孫)の一団は12日、米首都ワシントン近郊のダレス空港に降り立った。ドナルド・トランプ米大統領は、これらの人々が人種差別を受けているとして、難民に認定するとしていた。 これに対しラマポーザ氏は、12日にフリーステート州であった農業展示会で、移住を希望したのは、過去のアパルトヘイト(人種隔離政策)による不公平を正す取り組みに不満を持っている人々だと主張。移住は「その人たちにとって悲しい瞬間」だとした。 ラマポーザ氏はまた、「私たち南アフリカ人は対応力が高い。問題から逃げない。ここにとどまり問題を解決しなくてはならない。逃げるのは臆病者だ。まさに臆病な行動だ」と付け加えた。 さらに、「あの人たちはすぐに戻ってくるはずだ。南アフリカのような国は他にないのだから」と述べた。 End of 読まれた記事ランキング この「臆病者」発言に対しては、ソーシャルメディアで一部のユーザーから、現状に不満をもつ南アフリカの白人に対する侮辱だとの非難の声が上がっている。 トランプ氏と南ア出身の盟友のイーロン・マスク氏はこれまで、南アフリカで白人農家の「ジェノサイド(集団虐殺)」があったと発言している。ただ、この主張は広く否定されている。 アメリカはまた、南ア政府が補償金を支払わずに白人農家から土地を収用していると非難している。 南アフリカでは、少数派の白人による数十年にわたる支配が終わって30年以上がたつが、黒人は同国の最も優れた農地のごく一部しか所有できていない。大部分は白人が所有したままで、土地改革のペースの遅さに怒りの声が出ている。 ラマポーザ氏は今年1月、「公正かつ公益にかなう」と判断された場合に、政府が特定の状況下で補償なしに個人所有の土地を収用することを認める、物議を醸してきた法案に署名した。 ただ、南ア政府は、この法律に基づく土地の収用はまだないとしている。 トランプ氏は、アフリカーナーらが「ひどい状況」から逃れているとし、アメリカへの移住を提案してきた。 ラマポーザ氏は、アメリカに渡った一団について、難民の条件を満たしていないとしている。 在南ア米大使館によると、アメリカの難民移住制度の対象になるには、南アフリカ国籍である、アフリカーナーか人種的少数派である、過去の迫害や未来の迫害の恐れを証明できる――という条件に合致しなくてはならない。 ラマポーザ氏は、この問題に関して近く、トランプ氏と会談する予定だと述べた。 トランプ氏は、「事態の収拾」がされない限り、南アフリカで開催予定の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)をボイコットすると脅している。 (英語記事 White South Africans going to US are cowards, Ramaphosa says)

国際 BBCニュース
2025年05月15日
「Olive」と「PayPay」が相互に連携 キャッシュレス大連立

「Olive」と「PayPay」が相互に連携 キャッシュレス大連立

三井住友グループの個人向け金融サービス「Olive」と「PayPay」が連携する。Oliveを推進する三井住友フィナンシャルグループと三井住友カードが、ソフトバンクが包括提携し、AIやキャッシュレスなどの推進で相互に連携していく。キャッシュレスにおいては、OliveとPayPayを相互に接続する。 提携の内容は、Oliveとソフトバンクのデジタルサービス連携による非金融サービス拡大と、データ活用や生成AIでの連携、PayPayや三井住友カードにおけるアプリやポイント連携など。各施策は2025年度中に順次実施していく。 キャッシュレスにおいては、OliveとPayPayが相互に連携する。カードとコード決済のナンバーワン企業による「決済における大連立」(三井住友フィナンシャルグループ 中島 達CEO)とする。 Oliveを使ってVisa加盟店で支払いする場合、Oliveによるクレジットカードやデビットカードでの支払いのほか、「PayPay残高」での支払いが可能になる。Oliveのフレキシブルペイ(支払い方式を選べる機能)に「PayPay残高払い」が追加される形だ。 また、PayPayの残高確認や三井住友銀行口座とPayPay残高のチャージ・出金がOliveアプリで実行できるようになり、PayPay残高から三井住友銀行口座への出金手数料も無料。「OliveにPayPayを標準搭載する」(三井住友カード 大西 幸彦CEO)という。 さらにPayPayアプリのクレジットカード紐づけでも三井住友カードを優遇。PayPayは、2025年夏以降にPayPayカード以外のクレジットカードによる決済で、ユーザーに手数料の費用負担などを求める方針だが、今夏以降も三井住友カードのクレジットカードは無料で利用継続できる。また、三井住友カードNLやOlive以外の、ANAカード(Visa/Mastercard)やAmazon Mastercardなどの提携カードも無料の対象となる予定。 PayPay、他社クレカ利用停止を一旦撤回 25年夏までは利用可に 2024年12月5日 18:59 ポイントサービスにおいても連携。VポイントとPayPayポイントを相互に交換可能とする。これらのOlive/PayPay連携施策は25年度中に順次追加していく。 会員数6,900万のPayPayと国内カード市場トップシェアの三井住友カードが提携し、ポイント連携することで、三井住友カードとPayPayの相互の利便性と“お得”を強化する。 ソフトバンクとの提携においては、Oliveの非金融サービスを強化。金融の枠組みを超えるスーパーアプリとしてOliveを強化していく。 第1弾として25年度中に三井住友カードの会員向けに、データ活用により人々の健康増進を促すヘルスケアテクノロジーズが「ヘルスケアポータル」を提供。これにより、Olive会員がアプリを介してシームレスに健康/医療サービスを利用でき、時間や場所の制約を受けずに医療者のサポートを受けられるようにする。 保険商品についてもソフトバンク子会社のリードインクスが、三井住友カードのデジタルチャネルから申し込めるよう、保険ポータルの整備や商品ラインナップの拡充を行なう。これらヘルスケアサービスは、Oliveだけでなく、三井住友カードの法人会員向けにも展開予定。 決済データと人流統計データを組み合わせたデータ活用でも協力する。 三井住友カードが保有する決済データと、ソフトバンクのグループ会社が持つ人流統計データやその他外部データを組み合わせた、新たな顧客分析ツールに向けて、両社共同で検討を進める。 三井住友カードは、決済データを活用したマーケティング支援を加盟店向けに展開しており、決済データは、クレジットカード会員の属性データと、加盟店の属性データの二つを把握でき、購買行動を詳細に理解できるポテンシャルを持つ。 このデータに、位置情報を活用したビッグデータ事業を手掛けるAgoopが持つ、人流統計データを組み合わせることで、自社店舗や周辺への来訪者数などの来訪と、購買の動向を掛け合わせた分析を実現。未獲得顧客層の把握や、各種施策の集客と購買への寄与効果の確認などが可能となる見込み。 また、決済データや人流データ、気象データなどを、ソフトバンクが開発したAIアルゴリズムで分析し、小売り・飲食などの加盟店店舗や周辺エリアにおける将来需要の予測も行なう。三井住友カードでは、Vポイントをフックとした加盟店向けの送客サービスも提供しており、これらを組み合わせたビジネス展開なども想定している。 また、三井住友カードのAI導入においてソフトバンクが協力していく。 三井住友カードでは、「Olive」などのデジタルサービスについて、AIを活用したUI/UXの抜本的なレベルアップやパーソナライズされたサービスなどの検討を進めている。提携を機に、三井住友カードの顧客基盤や保有アセットに、ソフトバンクのAIサービスを組み合わせ、日々の利用シーンにおける顧客体験の向上を目指す。あらゆる領域でのAI活用を想定しているという。 協業の第1弾として、三井住友カードのコンタクトセンターに、ソフトバンク子会社のGen-AXが開発を進める、音声生成AIを活用した自律思考型AIサービスを導入。自律思考型AIにより、最適な対応を提供し、「いつでもつながる」コンタクトセンターの運営を目指す。 現在の三井住友カードのコンタクトセンターは、AIは人間を補助する形で使われているが、2025年度中にはAIエージェントによる24時間365日のユーザー対応を実現する。「3年以内に問い合わせの対応の半分をAIオペレータにしていく」(三井住友カード 大西CEO)という。 三井住友カードとソフトバンクの提携は、PayPayを第1弾とし、第2弾がヘルスケアやデータなどの非金融事業とAI導入、そして第3弾以降はLINEやヤフー、さとふる、ZOZOなどソフトバンクグループ各社との連携も模索していくという。現時点では、シェアサイクルやタクシー配車などが、すでに実現に向けて動き出している。 三井住友フィナンシャルグループの中島 達CEOは、「契約の当事者は三井住友カードだがSMBCグループにとっても戦略的に大きな意義がある」と切り出し、デジタルサービスでの連携と、PayPayとの決済領域での連携のそれぞれの目的を説明。 2年間で500万口座を超えたOliveは、グループのリテール事業の中核となるだけでなく、デジタル事業全体を牽引しており、三井住友銀行による法人サービス「Trunk」もOliveの基盤を活用している。今回の提携により、Olive起点のリテールビジネスを強化するだけでなく、非金融サービスを拡大していく。 SMBC、Oliveの成功を中小企業に拡大する新金融サービス「Trunk」 2025年4月15日 17:24 Oliveでは、カナダのHoppoerと協力した旅行サービス「Vトリップ」など、非金融サービスも強化しているが、そこにソフトバンクグループの各サービスを導入予定。また、「ソフトバンクとの提携は、リテールビジネスにとどまらず、三井住友グループ全体に広げていきたい」とした。 「競合」とみられるOliveとPayPayの連携の狙いについて、中島CEOは「クレジットカード対コード決済といった事業者の目線では『競合』とみられるかもしれない。しかし、お客様目線で、三井住友カードとPayPayを持っていれば大丈夫、という社会を実現していきたい」と説明。両社とユーザーにメリットがある取り組みだと強調した。 ソフトバンクの宮川 潤一社長は、ソフトバンク側からみた提携の意義として、「ソフトバンクの経済圏は子会社が約300社。この経済圏をOliveとTrunkの利用者に融合していきたい」と説明。そのきっかけとして、PayPayとOliveの連携を行なうとする。 宮川社長は、「6,900万人のPayPayと3,900万人の三井住友カードが連携する。第1弾は決済・ポイント、第2弾として、先進デジタルサービスで連携する。ソフトバンクのヘルスケアとデジタル保険をサービス提供し、OliveとTrunkの会員にシームレスな環境でデジタルサービスを使ってもらう。これがソフトバンクからみた提携の意義」とする。実際、今回の提携のきっかけは、ソフトバンク宮川社長が三井住友カード大西社長にヘルスケアサービスをOliveで採用してほしいと営業したことがきっかけとのこと。結果として、より多くの事業で相互に協力する形となったという。 またAIコールセンターにおいても、これまでのAIが「助手」となるケースから、自律的に行動する「変革型」に変わってきたと説明、これにより、24時間稼働のコールセンターを実現できるという。 なお、今回の三井住友カードとの提携により、ソフトバンクの料金プラン「ペイトク」などでもカード優遇を行なうか? との問いに、宮川社長は「議論のスコープに上がっていないが、いいアイデアなので検討したい。今度営業に行きます(笑)」と言及。「ドコモ・auが料金を値上げしている中で、我が社にも注目されているかもしれないが、いろいろな検討を進めている。通信料金以外で収益を上げられれば、値上げをしなくても済む構造を作れるかもしれない」と語った。 三井住友カードの大西社長は、デジタルサービスとAI活用をアピール。OliveとVpass会員向けに、ヘルスケアテクノロジーと共同でヘルスケアポータルを展開し、日頃の健康管理や、健康医療相談チャット、オンライン診療などを提供していくという。これはOliveだけでなく法人向けにも展開予定。 Oliveでは、証券会社はSBI証券、保険はライフネット生命など、「グループ内にこだわらずにベストなサービスを選んでいる」と説明。ヘルスケアや保険のほか、モビリティサービスなどの展開も予定しているという。 また、「AI活用の本丸」として、「AI-Olive」の構想についても言及。利用者の資産状況やサービス利用状況などから、「マネーライフ」をアシスト。住宅ローンの繰上返済や、海外旅行計画、NISA投資などの「選択」を支援して、Olive内の各サービスにつなげていく。 三井住友カードではマネーフォワードと提携し、Olive内で他行の口座やカードの残高・利用履歴確認し、資金移動やローン返済を行なう機能を開発中。こうしたデータを活用し、ローンの返済や資産運用、旅行の助言などをOlive上で行ない「Oliveを未来型のスーパーアプリにしていく」という。 OliveとPayPayの連携については、「コード決済VSカードではなく、お客様視点で必要なことを考えた」と説明。実際にクレジットカードとPayPayを使い分けるユーザーは多く「キャッシュレス(普及)も後半戦で、必要な取り組み」とした。 VポイントとPayPayポイントは相互交換に対応する。このポイント連携により、「我が国最大のポイント経済圏になる。PayPayの経済圏と世界中で使えるオープンなVポイント。どこでもつかえて貯められるポイントを本当の意味で実現できる」と説明した。なお、VポイントとPayPayポイントの統合については「予定はない」とのこと。

経済 Impress Watch
2025年05月15日
freee、AIエージェントを導入 経費精算や請求書発行など

freee、AIエージェントを導入 経費精算や請求書発行など

フリーは14日、AIエージェントとなる「freee AI(β版)」を発表した。AIを活用した各種サービスをクローズドβ版として提供開始する。freeeのサービスフレームワークである「統合flow」と「AI」を組み合わせて、スモールビジネスにおけるAI活用と業務効率向上を目指す。 経費精算や年末調整、請求書発行、勤怠管理、工数管理などでAIを活用したベータ版のサービスを、まずは既存顧客向けに提供開始する。 「まほう経費精算」は、上長とのチャット内容を自動解析して事前申請を行なう仕組み。申請者には、経費の利用予定日に通知が届き、領収書を撮影するだけで、事前申請と連携した経費申請を行なえる。 「AI年末調整アシスト」は、従業員が書類をカメラ撮影するだけで年末調整時の記入をアシストする機能。生命保険料控除では、契約者、保険種類、区分、金額の自動入力。年度違いなどのエラー検知機能を備えている。25年度の年末調整から提供を開始予定。 「AIチャット請求」は、freee請求書で請求書発行の負担をAIが自動化する機能。AIが月末に自動で取引先ごとの納品書から未発行請求書を特定し、取引先ごとの合算請求書を瞬時に作成・送付。合算時に発生しやすい計算ミスや漏れを防止できる。 「AI勤怠チェッカー」は、freee人事労務でAIに勤怠チェックを指示すると勤怠に不備のある従業員をリストアップし、従業員へ修正・催促の連絡までを自動で行なう。また、従業員の対応率を向上させるため、催促メッセージを複数パターン提案し、選んだメッセージを従業員に送信できる。 「AI工数マネージャー」は、freee工数管理で日々の業務時間をAIが自動で分析。freee工数管理に登録された工数データをもとに生産性向上のための改善ポイントを提案する。業務の中でミーティングが多いのか事務処理業務が多いのかなど、非効率な業務を過去の推移から割り出し、チーム全体のパフォーマンス向上を図る。

政治 Impress Watch
2025年05月14日
西武鉄道、東村山などにホームドア整備 25年度設備投資424億円

西武鉄道、東村山などにホームドア整備 25年度設備投資424億円

西武鉄道は、2025年度鉄道事業設備投資計画を発表した。ホームドア整備やデジタル化推進などに424億円を投資する。 今年度のホームドア整備事業は、東村山駅(高架化後新宿線下りホーム)、保谷駅、新所沢駅での稼働を予定。2026年度以降も順次ホームドア整備を進め、当面は池袋~小手指駅間、西武新宿~新所沢駅間、小平~玉川上水駅間、豊島線、西武有楽町線各駅において2030年代半ばまでにホームドアを整備することを目指す。 ホームドア整備駅の拡大にあわせ、定時運転と乗務員負荷軽減の観点からTASC整備を推進。列車が駅に停車する際に自動的にブレーキをかけて定位置に停止させる運転支援システムで、今年度から地上および車上に機器を設置する工事に着手。2027年度の池袋~小手指駅間、豊島線、西武有楽町線各駅への導入を目指す。 踏切の安全性も向上。踏切支障検知装置の高規格化を進め、従来の「線」で検知する方式(光電式)から、「面」で検知する方式(2D式)に更新し、検知能力を向上させている。今年度は新設2可所・更新10カ所、計12カ所の踏切へ設置予定。 車内防犯カメラの設置については、2025年3月末時点で全車両の約85%に設置済み。今年度末には100%を目指す。また、2026年度末までに記録式カメラ設置車両については、リアルタイムに映像を確認できる通信式カメラへ置き換える。 西武線内のターミナル駅、観光地周辺の21駅では、2024年12月からクレジットカード等のタッチ決済乗車サービスの実証実験を開始し、QR企画乗車券の自動改札機での利用も開始した。 今年度は西武線内の約50駅、2026年度には西武線内の全駅でタッチ決済乗車サービスとQR企画乗車券の利用を可能にするため、自動改札機の整備を進める。 駅係員の連絡業務をスマートデバイス上で完結するGSシステムでは、車いす利用向けの事前受付システムを導入。事前予約をしてもらうことで、駅員不在の時間帯でも対応を可能にし、スムーズな案内を実現する。 そのほか、従業員の職場環境改善・整備においては、現業施設の建て替えや宿泊施設の個室化、駅従業員用休憩室のリニューアル等を行ない、従業員満足度の向上を図る。

社会 Impress Watch
2025年05月14日