備蓄米放出で「3層化」銘柄米値下がりにつながるか 底つけば輸入拡大、日米関税協議の影

経済 産経新聞 2025年05月28日 19:51
備蓄米放出で「3層化」銘柄米値下がりにつながるか 底つけば輸入拡大、日米関税協議の影

小泉進次郎農林水産相が小売業者に随意契約で備蓄米を直接売り渡す方式を始めたことで、6月2日にも店頭に「5キロ2000円」のコメが並ぶ。市場競争を促し、銘柄米も含む市場全体の価格抑制を図る。だが値上がりする銘柄米への波及は見込みにくく、これまで一般競争入札で放出した備蓄米を使ったブレンド米と合わせ価格の「3層化」が進みそうだ。備蓄米放出の効果が限定的なものに終われば、外国産米の輸入拡大も視野に入る。

政府は26日に随意契約で備蓄米を放出する新方式を導入。一部の業者は6月2日にも「2000円」での販売開始を目指す。他の多くの業者も2000円前後で取り扱う方向だ。

政府は安い備蓄米の投入で、市場全体の価格低下を狙う。コメの平均価格は足元で4200円を超えるが、石破茂首相は「3000円台」を目指すとしている。小泉氏は28日、農水省で記者団に対し「(値下がりに向けて)空気が変わってきた」と成果を強調した。

ただ、銘柄米を含めて価格が下がるかは見通せない。業界関係者は「業者が高値で仕入れたコメを安い値段で出すことは難しそうだ」と話す。今回放出される備蓄米は約30万トンで、年間国内需要量の5%程度。「一時的に安いコメが出回るだけだ」との見方も根強い。

競争入札で放出した備蓄米を使ったブレンド米の販売価格は3500円前後。コシヒカリなどの銘柄米は値上がりが続き、単一品種の平均価格は4400円を超えた。このため当面は銘柄米とブレンド米、安い備蓄米で米価の「3層化」が続きそうで、小泉氏も28日の衆院農水委員会で「安く買いたい消費者に選択肢を増やす」と説明した。

今回の放出が完了すると、備蓄米の在庫は半分の30万トンにまで減る。小泉氏は備蓄米を「需要があれば無制限に出す」と強調するものの、すぐに底をつく可能性もある。

ここで取り沙汰されるのが安価な外国産米の輸入拡大だ。農家などの強い反発があるが、トランプ米政権との関税協議では、日本側の交渉カードとして米国産のコメの輸入拡大案がくすぶり続ける。小泉氏は28日、記者団に「あらゆるカードは頭の中にある」と述べ、輸入米の拡大は検討の余地があると示唆した。

(中村智隆)

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