公判になったら、角谷には国選弁護人が付くはずだが、その人があえて事件の闇に光を当てるとは思えない。
取り調べ後は区検に戻り、また報告と捜査会議に臨んだが、会議冒頭、前にモニカが書いた調書は村田からダメ出しされた。口頭での報告を腕組みして聞くその表情からも厳しい指導が入る予感がしていた。
――「作品」に曖昧な点があってはいけない。いくら憶測が趣味だとしても、でっち上げは厳に慎まなければならない。冤罪(えんざい)は検察の信用失墜に直結する。
たとえそれが空疎な建前であっても、呪文のように繰り返し唱えると、免罪になったり、ご利益になったりするのかもしれない。その上で「作品」を破綻なく、無難に仕上げることが求められる。村田はその手本を見せるつもりか、こう断言した。