「花織やったらできるぅ!」 フィギュアスケート女子でミラノ・コルティナ冬季五輪代表の坂本花織(シスメックス)は、厳しくも温かい言葉に背中を押され、集大成の舞台に向かう。日本女子フィギュア史上初の3大会連続五輪代表となるまでの日々は、かつてない重圧と緊張感の連続だった。それを乗り越えていく原動力となったのが、幼少期から師事する中野園子コーチの数々の魔法の言葉だった。
本番が間近に迫った1月中旬、神戸市内のリンクで練習に臨む坂本には、ビシバシと厳しい言葉が飛んでいた。
「しんどくてもできます!」
「早く戻ってください!」
声の主は20年以上、苦楽を共にしてきた中野コーチ。坂本は大きく肩を揺らして呼吸し、ときには座り込むほどの疲労ぶり。そんなオリンピアンに対し、容赦はない。コーチから声が飛ぶたびに立ち上がり、また滑り始めた。