衆院選は解散から投開票まで戦後最短の16日間となり、勝敗を左右する投票率が注目されている。そんな中、有権者の足を投票所へ後押ししそうなのが「選挙割」だ。投票(済)証明書または投票所の看板を撮影した写真を提示すると、割引などのサービスが受けられるというもの。最近は選挙のたびに参加店舗が増えており、今回は全国で3000店を超えて過去最多を更新した。
全国246店舗で選挙割を実施しているのが家電量販店「ノジマ」だ。2200円以上の買い物をすると「良い国」にちなんだ1192円分のポイントがモバイル会員向けに還元される(2月15日まで)。3日時点で約6800件の利用があり、衆院選期間中に2025年7月の参院選時と同規模となる約12万件の利用を見込んでいる。
猿田彦珈琲では全国27店舗でドリンクを100円引きする(2月22日まで)。「かっぱ寿司」(カッパ・クリエイト)は土日祝限定で食べ放題が400円引きになる(3月31日まで。事前予約制、本人および同席の中学生以上全員分)。
横浜市の温泉施設「満天の湯」は入浴料1050円(平日・大人)が700円になる(2月13日まで)。25年参院選では割引期間中の利用者が4000人を超えたという。
選挙割は一般社団法人選挙割協会(東京都世田谷区)が12年衆院選から取り組みを始め、趣旨に賛同した4店舗の参加でスタートした。以後、選挙のたびに参加店・企業が全国で増え続けており、25年参院選では最多の約2600店に上った。今回は投票日までの期間が短く呼びかけが遅れたが、新規が順調に集まったことで参加店は3000店を超えた。
公職選挙法の221条では、候補者が当選する目的で有権者に財産上の利益を与えることや、利害関係を利用した誘導を禁じている。このため協会では、特定候補の応援や政策的な主張をしないなど参加店に一定のルールを設定。参加店に選挙割のPR用ポスターを配布し、こうしたルールを説明している。代表の佐藤章太郎さん(52)は「法令を遵守すること、利益につなげないことを前提としている」と話す。
参加店は割引による減収分を自ら補填する。協会自体も利益を出さないよう、佐藤さんの本業が予備校講師であることを活かし、運営に学生ボランティアを使っているという。
総務省によると、投票証明書を発行する自治体は25年参院選時で全体の7割ほどに上る。選挙の普及啓発につなげるものとして発行の判断は各自治体にまかせている。(千葉真)