防衛大OB、イスラエル製ドローン導入に反対 ハンストで訴え

社会 毎日新聞 2026年02月03日 18:41
防衛大OB、イスラエル製ドローン導入に反対 ハンストで訴え

 衆院選が公示される前日の1月26日夜、防衛大学校OBの男性が東京都新宿区の防衛省前でハンガーストライキを始めた。寒空の下、パレスチナ伝統の布を肩に掛け、防衛省が導入しようとしている小型攻撃型ドローンに「イスラエル製」を採用しないよう求めている。男性は「世の中の関心は衆院選に集まっているが、日本が虐殺に加担しないよう目を向けて」と訴える。

 防衛省の前に立っているのは、2024年3月に結成された「ジェノサイドに抗する防衛大学校卒業生の会」代表で、防衛大63期卒の平山貴盛さん(29)。イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区で実行するジェノサイド(大量虐殺)に抗議し、市民団体「武器取引反対ネットワーク(NAJAT)」などと、イスラエル製武器の導入中止を防衛省やドローン輸入企業などに求めてきた。

 防衛省は小型攻撃型ドローンを導入するため、今月17日に一般競争入札をする。

 NAJATによると、取得のために事前に行われた実証試験は4機種で実施され、イスラエル企業「イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)」製の2機種を含む。

 国連人権理事会の調査委員会は25年9月、イスラエルがガザ地区でジェノサイドをしていると認定した。パレスチナの人権状況に関する国連特別報告者であるフランチェスカ・アルバネーゼさんは、ガザ地区で使われるドローンを製造するIAIなどはジェノサイドで利益を得ていると指摘している。

 平山さんは「イスラエル製ドローンが導入されたら、虐殺と戦争犯罪への加担という政治的な意味をもつ」と強調する。日本政府はガザ地区の人道状況について懸念を表明しているが、平山さんは「イスラエル製ドローンを導入すれば、日本の外交姿勢のダブルスタンダードを露呈させ、安全保障環境をかえって危険にさらす可能性もある」とハンスト前の記者会見で指摘した。

 東アジアの安全保障環境が厳しくなっているとする平山さんは、ドローンの導入自体には反対しない。「性能や実績に定評のあるイスラエル製ドローンが目に留まるのはある意味、仕方ないかもしれない」とした上で、「これらの性能や実績はパレスチナ人を長年にわたり人体実験のように虐殺し続けることで獲得されたことが明らかだ」と断じる。

 ハンストでは水と塩、砂糖だけをとって座り込み、寝袋で休みを取る。「風邪引くなよ」と声を掛けてくれたり、すっと近づいてきてガッツポーズし「表立って応援はできないが頑張れ」と言ったりする人もいるという。

 平山さんは、国際法をはじめとする国際ルールに基づく秩序が大事だと考える。「ルールを根底から壊すイスラエルから武器を買うと、日本がルール破壊をする側に回り、金を出して支援することになる。イランや中国、ロシアのドローンは買わないのに、イスラエルのやっていることは問題ないというメッセージを出すことになってしまう」

 9日目を迎えた極寒のハンスト。「日本政府が当事者である以上、市民も無関係であることなどありえない。これはパレスチナだけの問題ではなく、私たちが生きる国際社会をどのようにつくっていくかという問題だ」。平山さんは熱を込めて語る。【矢追健介】

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