3月にセ・パの両リーグとも開幕し、シーズンが本格化したプロ野球で、観戦以外の楽しみの一つが球場で味わう「グルメ」だ。西武が本拠地に置くベルーナドーム(埼玉県所沢市)は約70店舗、1000種類以上のメニューを取りそろえるなど、12球団でも最大規模を誇る。ファンクラブ会員も開幕前に過去最高を記録した西武だが、グルメなどの「体験型」施設の充実ぶりが背景にあるといえそうだ。
試合開催日の際、ベルーナドームの最寄り駅である西武狭山線・山口線の西武球場前駅の改札口を出ると、目の前にはさまざまなキッチンカーがずらりと並ぶ。「エルズグルメストリート」と呼ばれるエリアでは最大14台のキッチンカーが出店。球団関係者は「再入場が可能なため、試合中は球場の外に出てグルメを楽しむことができる」と説明する。
今季から出店した、埼玉県日高市の豚のテーマパーク「サイボク」では、自慢のベーコンを厚切りにカットしたベーコンカップ(900円)などを提供している。
また、同じく新規出店の「フォーティーフォー」では、手作りにこだわった「獅子のアメリカンドッグ」(680円)などを販売している。
ベルーナドームで窯焼きピザの店として人気を博していた「エルズクラフト」はリニューアル。今年1月に日本に初上陸した米国発祥のクラフトジンジャーエールブランド「REED’S」(リーズ)を看板商品として提供する。
また、今年で10周年を迎えたエルズクラフトでは、新たに「10種のチーズピザ」(2300円)の新メニューを開発した。記者もピザを試食したが、モッツァレラチーズやゴルゴンゾーラチーズなどの濃厚な味わいは絶品。辛口のジンジャーエールとの相性も抜群だった。試食した西武の羽田も「ピザがすごくおいしい」と話していた。
球団によると、ファンクラブの会員数は開幕前に12万人を突破し、過去最高を記録。特に20代の会員が前年比で約120%増と大幅に伸びており、球団では「若年層は『見る』より『体験』することを重視する傾向が近年高まっていることも要因」だと分析する。
観戦に訪れるファンを増やすためには、グルメなどの付加価値を高め、球場での「滞在率」を上げていくことが、西武だけでなく他球団にも求められそうだ。(浅野英介)