激しい覇権争いが続く中国の三国時代に、最強の武将とされた呂布奉先。その生涯と愛した女性との運命を描いた宝塚歌劇団月組のミュージカル「RYOFU」(脚本・演出=栗田優香)が4日、宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)で開幕した。敵を凌駕する強さと野心を持ちながらも策謀に翻弄される呂布を、トップスターの鳳月杏が激しくも切なく描き切るなど、壮大な三国志の一編を月組が現代によみがえらせる。
189年、かつての中国に存在した并州で戦果を上げていた呂布(鳳月)は、ひそかに天下を狙っていた。主である丁家の息子を手にかけ、言葉巧みに娘の雪蓮(天紫珠李)との結婚にこぎつける。着実に力をつけていくように思えたが-。
鳳月が大勢の敵を前に、軽やかにやりを振り回す姿には息をのむ。舞台を駆け回りながらもせりふはよどみなく、呂布の圧倒的な強さをにじませる。鳳月らしい鋭い視線には客席にいても畏怖の念を覚え、まさに史上最強の武将にふさわしい風格だ。
そんな呂布が心を奪われてしまう雪蓮は慈悲深く、時に勇敢な姿も見せる。天紫のしなやかな舞いが一層気高さを感じさせ、指先まで神経を行き渡らせた動きに、天紫が極めた娘役としての美しさが現れる。争いが尽きぬ中、呂布と雪蓮との間に流れる空気は温かく、時が止まるようだ。
仲むつまじい2人の関係に、覇権を狙う者が影を落とす。新たな世を作ろうとする洛陽の将軍、董卓(風間柚乃)だ。
無秩序で強引な改革を進め「極悪人」とも評される董卓は、呂布の野望を見抜き非情な取引を持ち掛け、運命を狂わせてゆく。風間の威厳を備えた演技は憎しみさえも感じさせ、舞台人としての実力を感じさせられる。
董卓に共鳴する李粛(礼華はる)や李儒(彩海せら)らもそれぞれの信念を持って動き、時代の混乱と権力の移り変わりを際立たせる。伝説の名馬、赤兎馬(羽音みか)の存在も中国史に彩りを添え、舞台作品を要所で引き締める。
後半のショーはファンタジーな世界にいざなう「水晶宮殿(クリスタルパレス)」(作・演出=齋藤吉正)。
宝石のような衣装を身にまとった俳優たちが、とめどなくステージを埋め尽くす。客席を使った演出で盛り上げ、宝塚らしい黒燕尾やデュエットダンスで引き締めた。
5月17日まで。東京宝塚劇場は6月6日~7月19日。(堀口明里)