【ソウル=時吉達也】韓国の民間人らが北朝鮮に無人機を飛ばした事件で、李在明(イ・ジェミョン)大統領は7日までに、情報機関、国家情報院の職員らが関与していたとの捜査結果を受けて「遺憾の意」を示した。韓国では、「現職大統領が北朝鮮に対し、公開かつ明示的に初めて謝罪した」(中道系紙の国民日報)ことで、空軍などによる合法的な監視活動が今後萎縮するとの懸念も出ている。
韓国メディアによると、無人機製作会社を運営する大学院生ら計3人が昨年9月~今年1月、計4回にわたり北朝鮮に無人機を飛ばした。捜査当局は3月下旬、韓国軍部隊の撮影などを無断で行った無人機が北朝鮮に墜落し、韓国の軍事上の利益を侵害したなどとして、3人を起訴。資金支援などを通じて活動に関与した国情院職員1人と軍人2人も書類送検された。
捜査結果を受け、李氏は今月6日の閣議で、「韓国政府の意図ではないにせよ、一部の無責任で無謀な行動が不要な軍事的緊張を招いた」と発言。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記の妹、金与正(ヨジョン)党総務部長は同日に談話を出し、李氏の遺憾表明を「賢明」だと評価した。
大統領発言の影響について、国民日報は軍事専門家の意見を引用する形で「境界線周辺の飛行などを通じて北朝鮮の動きや挑発の兆候を把握する活動が制限されれば、情報収集能力が低下する」と指摘。保守系最大野党・国民の力は論評で「卑屈な低姿勢は北朝鮮に『挑発しても構わない』という誤ったシグナルを与える」と非難した。