韓国、エネルギー危機に2.8兆円投入 燃料高で最大6万円給付へ

国際 日経新聞 2026年04月10日 16:53

補正予算の柱が国民1人あたり最大60万ウォン(およそ6万円)の給付だ。

低所得層やひとり親世帯などに傾斜をかける。所得上位3割は給付対象から除外する。消費刺激のため、現金ではなく商品券か、クレジットカードなどへのポイント付与を通して支給する。

李在明(イ・ジェミョン)大統領は2日の施政方針演説で「ようやく再燃した経済成長の火種が消えてしまうのではないか」と懸念を示した。「民生、経済の戦時状況であるという厳しい認識を持ち、危機を打開するため総力を挙げる」と強調した。

韓国政府は今回の補正予算の財源として新規の国債発行はせず、半導体や株式相場の好調による税収の上振れ分でまかなうと説明する。6月に統一地方選を控えるタイミングで、野党からは「ばらまきだ」との反発の声も上がる。

韓国が危機感を示すのは原油などの輸入依存度の高さに加え、エネルギー危機の影響を受けやすい産業構造にある。韓国はエネルギー消費の大きい半導体や鉄鋼などを主力産業とする。石油精製、石油化学も主要産業の一つだ。

韓国の石油備蓄量は国際エネルギー機関(IEA)の基準で200日分ほどあるものの、石油を精製したのち国外に輸出する量も多い。韓国メディアは実際の石油消費量で換算すれば70日程度しか持たないと指摘する。

企業にも影響が出始めている。最大手の大韓航空をはじめ複数の航空会社が燃油価格の上昇を受け「非常経営体制」に入った。韓国の石油化学企業では設備の定期補修を前倒し、工場の稼働を停止するケースも出てきた。

補正予算には燃料価格の安定のため30年ぶりに導入した「石油最高価格制」推進に5兆ウォンを計上した。卸売価格に上限を設けるしくみで、2週間ごとに価格を見直す。政府は同制度の実施に伴い、石油元売り各社の損失を補塡する方針だ。

石油化学製品の原料となるナフサ(粗製ガソリン)の供給不足に対応するため、代替先の確保にかかる追加費用も支援する。韓国は3月、民間企業の主導でロシア産ナフサを輸入した。

エネルギー消費の抑制も働きかける。公共交通機関の利用を促進するため、交通カード利用額の一部を還付する。公共機関の公用車や職員の乗用車に対して車両ナンバーによって運行日を規制する制度と併せて推進する。

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