筆者が政治部の「総理番」だった平成3(1991)年秋、時の海部俊樹首相は「政治改革」に意欲を示していたものの、関連法案が廃案となった際、周辺に「重大な決意」を口にした。首相が言う「重大な決意」とは衆院解散・総選挙を意味する。永田町は一気に緊張が走った。
ところが、党内からは反発が相次ぎ、海部氏を支えていた最大派閥・竹下派からも見放された。
海部首相は私たち総理番の記者に発言の有無を聞かれると、「重大な決意は重大な決意だ」と述べただけだった。首相の専権事項であるはずの解散権を封じられると、一気に力を失った。旧官邸の執務室に入るときの、うつろな表情の海部首相の姿はいまでも忘れられない。
それ以降、鳩山由紀夫氏や菅直人氏のように言葉が軽すぎる首相が誕生したが、本来、首相の言葉というのは重みがある。