春の夜、桜の散った公園や神社の境内に現れる紅テント。既存の劇場を飛び出し、不条理と詩情に満ちた作風でアングラ(アンダーグラウンド)演劇の金字塔を打ち立てた劇作家、唐十郎が亡くなってから2年がたつ。その作品を受け継ぐ劇団唐組のツアー公演が17日、今年も神戸・湊川公園から始まる。
今回の演目は、13年ぶりの再演となる「鉛の兵隊」。自衛隊のイラク派遣を背景として、2005年に初演された作品だ。スタントマン事務所「ドタンバ」を舞台に、イラクでの任期を終えて帰国した自衛官の青年を巡る物語が展開する。
「唐さんらしく、いろいろな物語が層として重なっていて、説明するのが難しい」。座長代行として演出を担う久保井研は、そう前置きした上で「当時の社会の流れの中で唐さんが考えついたのが、自己を喪失した青年の話。平和を願いながら戦争の準備をする。そんな人間の愚かさは、初演から20年以上たつ今も何一つ変わっていない」と再演の意義を語る。