消えるミナミのシンボル「もったいない」 大阪松竹座の解体に歌舞伎ファンから惜しむ声

文化・エンタメ 産経新聞 2026年04月14日 19:14
消えるミナミのシンボル「もったいない」 大阪松竹座の解体に歌舞伎ファンから惜しむ声

大阪・道頓堀の「大阪松竹座」(大阪市中央区)が5月の閉館後、全面的に解体されることが14日に決まった。松竹は「新たな文化芸能の発信拠点の実現」を掲げているが、長年「道頓堀の凱旋門」として親しまれた建物との別れに、人々は寂しさを募らせる。

かつて芝居町として栄えた道頓堀の風情を唯一残す松竹座。大正12年の竣工当時の姿をとどめる、アーチを特徴とした北側の正面玄関は地域のシンボルでもあった。

この日、松竹座で上演中の歌舞伎公演に訪れた大阪府岸和田市のパート従業員の女性(66)は「解体はもったいない。ここで見るからこその歌舞伎だった」と残念そうに語る。今後については「現代的になりすぎず、歌舞伎にふさわしい内装と舞台の劇場にしてほしい」と話した。

「大阪松竹座が最後だから、思い切ってチケットを取って見に来た」という大阪府八尾市の主婦(70)も、「今は中心部にある劇場が少なく、ここは昔懐かしいミナミのシンボル」と解体決定を惜しむ。

大阪市城東区のパート従業員の女性(65)も「昔ながらの良さがある」と外観を眺め、「難波の中に残っているのが『大阪の芝居小屋』のようで好きだった」と話した。

松竹座を巡っては松竹が昨年8月、設備の老朽化を理由に閉館を発表。3月末に大阪府、大阪市と対話を重ねた結果として、劇場運営の継続方針を発表した。しかし建物について、横山英幸市長は今月1日の定例会見で存続は難しいとの認識を示し、「劇場機能を維持しながらエンターテインメントを提供できるスペースができないか協議を進めている」と語った。

松竹座を本拠にしてきた松竹新喜劇の前代表で劇団員の渋谷天外さんは、「なくなるのは寂しいし残念だが、また芝居が上演できる劇場ができてくれれば」と前を向いた。(亀岡典子、石橋明日佳、前原彩希)

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