久末航 ただ純粋に聴いてほしい 現代作曲家の作品では「音の変化体験を」

文化・エンタメ 毎日新聞 2026年04月15日 20:01
久末航 ただ純粋に聴いてほしい 現代作曲家の作品では「音の変化体験を」

 幼い指が鍵盤をたどる。一つ一つの音が連なり、開け放たれた窓からピアノの音色が流れ出す。ピアニスト、久末航の原風景は四半世紀あまり前、5歳でピアノを習い始めた頃にさかのぼる。「自分のピアノを誰かに聴いてほしい。そして、喜んでもらいたい」。ピアニストなら誰もが抱く思いは、当時から久末の心に宿っていた。

 大津市出身。好奇心のままピアノに親しんだ。才能はすぐに輝きを放ち始めた。小学生の頃から数々のコンクールで受賞を重ね、オーケストラとも協演。多くの人に聴いてほしいという思いから練習中に「わざと窓を開けたり、家事をしている母に向けてドアを開けたり」したこともあった。「今考えたら、迷惑な話ですね」

 滋賀県立膳所高校を卒業すると、独フライブルク音楽大、パリ国立高等音楽院への留学を経て、ベルリン芸術大学修士課程を修了した。中学生の時に受けた公開レッスンが縁でドイツ留学を勧められることになるのだが、高校では物理や化学に興味を持ち、大学では理学部への進学も考えた。結果的に音楽の道を歩んだが、高校時代にさまざまな経験をした。「多様な友人との交流で、音楽だけでない世界を知りました。視野を広げられたこと…

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