15日の参院憲法審査会では、立憲民主党や共産党などが、高市早苗首相(自民党総裁)の憲法改正を巡る発言を批判した。首相は12日の自民党大会で「立党から70年、時は来た。改正の発議について何とか目処が立ったと言える状態で来年の党大会を迎えたい」などと述べた。
立民の小西洋之氏は、首相の発言に関し「改憲ありきの、国民を欺くものだ」と述べた。自民党や日本維新の会などが意見集約を主張している緊急事態時の国会議員任期延長に関しては「適切な立法とは言い難い暴論だ」などと訴え、「任期延長改憲は『時は来た』のではなく、その時は完全に失われている。論点は出尽くしたどころか、論理破綻ぶりが出尽くしているという誠に遺憾な状態だ」と語った。「9条改憲や自衛隊明記改憲、(改憲原案を作成する)条文起草委員会の設置に明確に反対する」と強調した。
共産の山添拓氏は「権力の座にある首相が期限を切って改憲発議を迫るなど論外だ」と述べた。「どのような国をつくり上げたいのか、その理想の姿を物語るものが憲法だ」とした首相発言に関しても「憲法は権力を縛るものという立憲主義をわきまえない暴論だ」と批判した。9条の改正に改めて反対姿勢を示した上で、「どの世論調査でも、国民は改憲を政治の優先順位として求めていない。憲法審を動かすべきでなく、改憲案を具体化する条文起草委員会など必要ない」と断言した。
れいわ新選組の奥田芙美代氏は「どこかの首相が『国の理想の姿を語るのは憲法だ』とたわごとを言っていた。憲法は理想を語っているのではなく、政府に突き付けられた命令だ」と主張した。首相の改憲意欲に関しては「首相は憲法の檻に入れられているにもかかわらず、とんでもない」と批判した。「憲法に縛られているものたちが憲法を改正するなど言語道断だ」とも語った。エネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡の情勢に触れ、「自衛隊を派遣せずに済んだのは9条があったからだ」などと持論を展開した。
公明党の谷合正明氏は「新たな理念や規定を付け加える加憲が検討されるべきだ」と述べ、9条やマイノリティーの人権、参院の選挙制度などを主要論点として議論を深めるよう主張した。一方で「憲法にかかわる議論は政府主導でなく立法府が主体となり、幅広い合意形成を得つつ熟議を重ねていくべきだ」と首相の姿勢にくぎを刺した。
改憲に前向きな野党からは、「時期」や「時」という言葉が出た。
国民民主党の山田吉彦氏は「若い世代からは、時代が変革しているのに憲法が改正されないことに対する疑問の声も聞こえる」と話した。「強く、美しい、優しい日本で生きる人々を守れるように、制度を現実へとアップデートすることが必要だ。混沌とした国際社会の圧力から国民を守り、AIをはじめとした科学技術の変革、サイバーセキュリティーにも対応できるように憲法を見直す時期に来ている」と表明した。
参政党の塩入清香氏は、現行憲法が占領下に策定された経緯を踏まえ、「正当性に一定の疑義を持っている。憲法は与えられるものではなく、自ら定めるものであるべきだ」と指摘。「日本が自立するための理念が必要だ。部分的な改憲ではなく、国民自身が主体となって憲法を一から作り直す『創憲』を主張している。今こそ借り物の憲法から卒業すべき時だ」と語った。
与党側の発言からは、意見集約に向け、議論を加速させたい考えがにじんだ。
自民の中西祐介氏は「議論を積み重ね、形にしていく努力をしていきたい」と述べ、自衛隊明記、緊急事態対応、参院の合区解消、教育の充実について、条文イメージのたたき台素案を有していると説明した。
維新の片山大介氏は「テーマごとに各党各会派の意見を出し合いながら、考えをまとめていくことを提案したい。まとめる時期を見据えてスケジュールを策定し、議論を重ね、条文起草委員会の下で、改正案の策定を目指していきたい」と述べた。「国民主権を掲げる憲法が、一度も国民の審判を仰いでいない状態が続いている。一日も早く国民投票が実施されるよう全力を傾ける」と意欲を語った。