来日中のチベット亡命政府(インド北部ダラムサラ)のペンパ・ツェリン首相が29日、東京都内で産経新聞のインタビューに応じた。ツェリン氏は、中国政府のチベット人同化政策を批判した上で、トランプ米政権が解体を進める米国際開発局(USAID)によるチベット支援事業の復活を訴えた。主な発言は以下の通り。
中国のチベット自治区では、中国政府による人工知能(AI)を使ったチベット人の管理と監視が横行している。中国政府は、チベット人やウイグル人といった民族が存在しなければ、民族問題は起きないと考えている。この状態があと15年、20年と続けば、チベット人の若者の世代全体が中国人(漢民族)に変わってしまい、大きな問題だ。
中国政府はダライ・ラマ14世の死を待っていて、自分たちのダライ・ラマを選ぼうとしている。しかし、ダライ・ラマはあと20年以上生きると言っている。転生(後継)者については、自由な世界に生まれると話している。中国やチベットが自由でなければ、転生者はそこでは生まれない。7月初めに私たちはダラムサラで、3日間の会議を開く。その中で、ダライ・ラマが転生について何らかの声明を発表するかもしれない。
米国がUSAIDの解散を決めた。チベット亡命政府は、政府費用として1年間に4000万ドル(約58億円)を予算化しており、そのうち1400万ドルが米支援で35%を占める。この中の200万ドルが米国務省の人口難民移民プログラムによるもので、1200万ドルがUSAIDによるものだ。
米国がUSAIDの対外援助を打ち切ったことで、私たちは巻き添えを食った。復活を望んでいる。米議会指導者、国務省やホワイトハウス関係者に会ったが、彼らはUSAIDのプログラムのうち残したいものをどうするか模索中だ。チベット関連がそのひとつになることを期待している。
USAIDの支援は、教育、医療、インド国内のチベット人コミュニティーの再建のほか、亡命政府組織と個人の能力強化、新旧すべてのチベット仏教経典をデジタル化し永久保存するプロジェクトの費用に充ててきた。また、(トランプ政権によって解体が進む)ラジオ自由アジア(RFA)のような、世界で起きていることを伝えるニュースが失われるのは大きな問題だ。(岩田智雄)