健康保険証の代わりとなる「資格確認書」を紛失したり、破損したりした場合、マイナンバーカードの10倍、1万円の再発行手数料を取る健康保険組合(健保)の存在を報じた。 あわせて読みたい再発行に1万円は高すぎないか? 「資格確認書」の手数料、マイナ保険証の10倍 厚生労働省も黙っていなかった
「ひどい健保だね」「腹が立った」
記事への反響を見ると、この健保を批判する言葉が目立つ。
確かに、私も1万円は高すぎると思う。
ただ、この健保が「けしからん」と言うだけで済む問題ではないとも感じる。
◆思い出す、1年前のデスクのひと言
思い出すのは1年前、私がマイナ保険証の取材を始めて間もないときのことだ。
マイナ保険証の利用促進のため厚生労働省が作成したチラシ。資格確認書への言及はなく、従来の保険証が発行しなくなることを強調していた。
大手薬局チェーン店の窓口で、職員がマイナ保険証の利用を迫るあまり、患者は従来の健康保険証が使えないと勘違いし、トラブルになった問題を取材していた。
そんなときデスクから、こんなひと言を投げかけられた。「一企業を批判しても、しょうがないよ」
なぜトラブルが起こったのか、目の前の事象を追うだけでなく、その背景や原因まで掘り下げて報じる重要性を指摘された。
◆薬局にも、健保にもマイナ普及の圧力
薬局窓口でのトラブルの背景には、政府によるマイナ保険証の強引な普及策があった。
厚生労働省は、薬局や病院向けに、マイナ保険証の利用を勧める声かけの「台本」まで用意し、配布していた。
当時、この大手薬局の担当者は「マイナ保険証を推奨している国の方針に沿った対応だ」と強調した。
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まさに、今回の健保とも通じるような動きだった。
薬局だけではない。健保も、厚労省からマイナ保険証の利用を増やすようプレッシャーをかけられていた。
マイナ保険証の利用を促そうと、厚労省が2024年1月、各健保に送った文書。24年11月時点の利用率を「50%」が基本として、各健保に利用率の向上を求めていた。
厚労省は2024年...