再審見直し案に日弁連納得せず 袴田さん姉「冤罪被害者救われない」

社会 毎日新聞 2026年02月02日 20:44
再審見直し案に日弁連納得せず 袴田さん姉「冤罪被害者救われない」

 確定した刑事裁判をやり直す再審制度の見直しを議論している法制審議会(法相の諮問機関)の部会が2日、法務省で開かれ、再審請求審での証拠開示を義務化し、裁判所が検察に開示命令を出す規定を盛り込んだ刑事訴訟法改正の要綱案をとりまとめた。再審開始決定に対する検察官の不服申し立て(抗告)は禁止せず、明文化したルールがない現行の運用をおおむね踏襲する内容となった。

 法制審議会部会は要綱案に、新制度を運用する際に留意する点を「付帯事項」として加えた。反対する日弁連側に配慮した内容だが、要綱案本体と比べると影響力は限定的で日弁連側は納得していない。一方、これまで国会では日弁連側の意見を支持する動きもあり、今後の国会審議が紛糾することも予想される。

 付帯事項は部会の議論を踏まえ、スクリーニング(選別)規定の運用は「要件を不当に広く解釈して安易に請求を棄却することのないよう」に、証拠開示制度の運用は「関連性・必要性が認められる証拠の範囲が不当に狭くならないよう」に期待するとした。再審開始決定に対する検察の抗告についても「結論ありきではなく慎重かつ十分な検討」を望んだ。

 部会委員の鴨志田祐美弁護士は記者会見で「付帯事項の書きぶりは手ぬるく、これで要綱案が充実したとは言えない」と憤った。

 法制審の動きとは別に、自民党を含む超党派の国会議員連盟が改正案をまとめ、2025年6月に当時の野党6党が刑事訴訟法改正案を衆院に提出した。衆院解散で廃案となったが、幅広い証拠開示や、再審開始決定に対する検察の抗告禁止を求めており、日弁連側が支持する内容だった。

 法務省は2月中旬の法制審で答申を得た上で、選挙後の新たな構成となった国会に改正法案を閣法(政府提出法案)として提出する方針だ。

 鴨志田弁護士は「選挙が終わったら議員立法の法案を再び国会に提出してもらい、法改正を実現してもらいたい」と期待した。再審無罪が確定した袴田巌さん(89)の姉、秀子さん(92)は、要綱案では冤罪(えんざい)被害者は救われないとし「人間を守る法律を作ってほしい」と述べた。【安元久美子、巽賢司】

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