茨城県日立市の歴史を次世代へ伝える創作劇「ひたち市民劇 石のこえ みらいのまち」が7、8両日、同市千石町の多賀市民会館で上演される。一般公募で集まった出演者たちは年齢層も演技経験もさまざまだが、一つの舞台を作り上げようと懸命に稽古へ取り組んでいる。
作品の主人公は転校生で学校になじめない日立市の中学1年生、佳純。市の魅力を授業で発表することになって悩むが、郷土歴史家の田谷と出会い、市内で発見された日本最古の「カンブリア紀地層」から採取した石をもらうと、過去の日立へタイムスリップする。
奈良時代では九州の防備へ向かう防人(さきもり)の若者ら、江戸時代には「日立」の名付け親との伝説も残る徳川光圀公に遭遇。明治時代の日立鉱山創業、昭和では戦時中の空襲などによる惨状、戦後の復興も見届ける。
脚本・演出は県立日立一高教諭で、地元で活動する「劇団コミューン」代表の豊田郁央さん(65)が担当した。もともとは市制施行80周年を記念し令和2年にオペラミュージカルの公演が予定されていたが、新型コロナウイルス禍で中止になり、市民を元気づけようと新たに企画した。
郷土の歴史を次世代に伝えるというミュージカルの趣旨は受け継いでおり、豊田さんは「日立を作り上げた先人たちに思いをはせながら、これからのまちづくりへの希望も感じてもらえれば」と語る。
準備は6年秋にスタートし、昨年4月、「日立さくらまつり」の会場で劇の開催を告知して出演者を募集した。18人で始動し、現在は7歳の小学1年生から80歳までの約40人が稽古に励む。学生時代などに演劇経験がある人もいれば、まったくの未経験者もいる。
主役の佳純を演じるのは県立高萩高2年の白田唯凪さん(16)。学校で演劇同好会に所属する白田さんは「見に来てくれたお客さんの時間を絶対無駄にさせない作品にしたい」と意気込みを語る。
母親の智絵役は、日立一高教諭で劇団コミューンの女優の田村恵美子さん(51)。高萩高で教え子だった白田さんについて「女優として開花し、のびのびと演技している」と成長ぶりに目を細める。
物語のキーマンとなる田谷は、元日立市職員で、現在は活動休止中の老舗市民劇団のメンバー、大内勇雄さん(66)が演じる。「場面ごとに新しい発見や再認識があると思う」とうなずく。舞台には市内の合唱団やダンサー、オペラ歌手らも登場し花を添える。
7日は午後3時、8日は午前11時半の開演で、入場料は一般2800円、中高校生1千円、小学生以下は無料。問い合わせは、ひたち市民シアター事務局(0294・34・1727)。(三浦馨)