衆院選の投開票まで1週間となった1日、広島県呉市中心部のアーケード街「れんがどおり」を広島4区の候補者が練り歩いた。全長約400メートルの商店街は昼間からシャッターを下ろしたままの店が目立つ。
陣営スタッフが先回りして候補を「こっち、こっち」と手招きしなければ、営業中の店を探すだけで時間を費やしてしまう。商店街周辺を約40分かけて回り、握手できたのは年配の店主ら70人ほど。週末の昼間でも、買い物客はほとんどいなかった。
衰退する町で今、起爆剤と期待されているのが、2023年に閉鎖された日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区の跡地での大規模な防衛拠点の整備計画。防衛省が海上自衛隊呉基地近くの約130ヘクタールを買い取り、無人機の製造・整備や火薬庫などを配置する計画だ。
海軍の町だった呉は太平洋戦争末期に米軍の空襲の標的となり、市民ら約3400人が犠牲になった歴史がある。有事の際、再び市民が巻き込まれるのではないか――。地元では一部から計画に対する不安の声が上がっている。それでも新たな防衛施設がもたらす雇用や地域経済の活性化への期待は高く、計画の是非は主要な争点になっていない。
「65年ありがとう」。れんがどおりにある1960年創業の洋服店「丸市」の店頭に、閉店セールの張り紙があった。
店番をしていた先代店主の大隣香代子さん(69)によると、仕入れ値の高騰や客の高齢化などに直面し、現店主の長男と相談して24年末に閉店を決めた。在庫を売り切って店をたたむつもりが客足が鈍く、1年以上たった今も営業を続けているのだという。
大隣さんも防衛拠点計画に期待を寄せる一人だ。「若い人が増えて、昔のようなにぎやかな呉に戻ってほしい」と寂しそうに語った。
戦前、呉は戦艦大…