東日本の18都道県のうち、私立高の修学旅行先を把握していたのは10道県にとどまることが2日、産経新聞の各自治体への調査で分かった。修学旅行を巡っては、同志社国際高(京都府京田辺市)が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古移設工事現場を平和学習として訪れ、乗船した抗議船が転覆して生徒が死亡する事故が起きている。学習指導要領によって平和学習には多角的な視点が求められるが、自治体の監督が及んでいない実態が浮き彫りになった。
行き先を把握していたのは、神奈川や山梨など10道県で、各校に書面の提出を求めるなどして情報を集めていた。神奈川県は、県内外を問わず宿泊を伴う旅行を実施する際には、各校に《宿泊旅行実施届》を出すように依頼しているという。ただ、公立高と違い、ガイドラインなどの定めはないため、「あくまで協力をお願いする立場」(担当者)だという。内容も大まかな行き先や日程にとどまるとしている。
他の自治体でも、「近畿」や「九州」など、方面別に行き先を把握するケースが大半だ。山梨県など一部を除き、具体的な行程までの報告は求めていなかった。
一方、東京や千葉など8都県は行き先自体を把握していなかった。修学旅行の実施の有無さえも各校から吸い上げていないケースが多く、東京都の担当者は「私立の場合は各学校の判断で実施してもらっている。届け出や報告を受ける制度自体がなく、学校には都への報告義務もない」と説明している。
京都府も、同志社国際高を含め私立校の修学旅行先は把握していなかった。同志社国際高が修学旅行で実施した平和教育を巡っては、高校学習指導要領が定める「多面的・多角的に考察させるような教育」に照らして適切だったかどうか、文部科学省が京都府を通じて調査に乗り出している。
私立は柔軟な教育課程の編成が可能だが、学校教育法に基づき、学習指導要領の適用対象でもある。自治体には監督する権限がある一方、私立学校法で規定される自主性を重んじるあまり十分に機能していないと指摘されており、制度上の課題が顕在化したといえる。