大阪桐蔭の優勝で3月31日に幕を閉じた第98回選抜高校野球大会。大きなインパクトを残した選手の一人が山梨学院のエースで主将の菰田陽生(はるき)(3年)だろう。1回戦で豪快な本塁打を放ち、投打「二刀流」でプロが注目する怪物ぶりを発揮。しかし、その試合の一塁守備で左手首付近を骨折。チームの準々決勝敗退をベンチから見つめた。
194センチの長身が打席に入ると圧倒的な存在感が漂った。1回戦の長崎日大戦の一回、初球のカーブを捉えた打球は一直線に左翼席に飛び込んだ。「打った瞬間、いったと思った」。しかし、アクシデントが待っていた。五回の守りで打者走者と交錯して左手首付近を負傷した。最速152キロの剛速球をマウンドで披露することなく、菰田のプレーヤーとしての春が終わった瞬間だった。
以降、患部を固定した痛々しい姿でベンチからナインを鼓舞。投打の大黒柱を欠いたチームは準々決勝で敗退した。ベスト4に進んだ昨夏は準決勝に先発したが、右肘の違和感で1イニングを投げただけで降板。「チームに迷惑をかけた」と今春と同じ言葉を残していた。甲子園は菰田にとっては試練の場所。「成長して戻ってこいという意味だと思う」と唇をかんだ。
夏に向けてリハビリが始まっている。吉田洸二監督は「中途半端なリハビリをして彼の将来に影響が出ることは指導者としてはあってはいけない」と気遣う。菰田は「将来の目標はプロだが、その前に夏の日本一をとりたい。5月中には(本格的な練習が)できるようにしたい」と前を向いた。(鮫島敬三)