人類は長い歴史の中で灯(あか)りとして「火」「電球」「LED」の3つを使ってきたが、いま4つ目の光源として「光る植物」の実用化が加速している。遺伝子操作で発光タンパク質の遺伝子が導入された、自ら発光する植物である。開発を進めるスタートアップ「LEP」(大阪市北区)は年内にもホテルなど商用に光る盆栽などの販売を予定しており、来年にも一般向け販売を検討している。将来的には屋外照明に光る街路樹や、光る壁面緑化、テーマパークのイルミネーションなどで活用し、電力消費量や二酸化炭素排出量の削減にもつなげたいという。夢の技術が現実のものとなろうとしている。
2025年大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」で、〝未来の侘び寂び(わびさび)〟として淡い緑の蛍光色に光る盆栽が展示された。松の盆栽のようだが、枝葉の上に培養された発光植物の細胞を載せたもので、1週間の展示期間に1万人以上を集めた。
こうした光る植物は大阪大学産業科学研究所の永井健治教授らの研究成果だ。発光キノコや発光バクテリアが有する発光システムを別の植物に導入することで自ら発光する植物の作製に成功した。これまでにゼニゴケやペチュニア、シクラメン、タバコ、ポプラなどの発光を成功させている。
多方面に可能性が広がる発光植物のビジネス化を目指し、永井教授や、植物分子生理学を専門とする奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス領域長の出村拓教授が令和5年9月にスタートアップ企業「Light Emitting Plant」(LEP、光る植物)を設立した。現在も「室内で読書ができる」レベルの光量を目指して開発が進められている。