【ワシントン=杉本康士】米西部カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事の広報担当者がX(旧ツイッター)に投稿した内容が、同性愛者に対する差別だとして物議をかもしている。ニューサム氏は2028年の米大統領選に向けた民主党予備選で有力候補になると目されているが、LGBT(性的少数者)の権利擁護を重視する民主党支持層の離反を招きかねない事態となっている。
投稿は3月25日、ニューサム氏の汚職を調査するためにカリフォルニアを訪れると公言していた右派活動家のベニー・ジョンソン氏を挑発する内容。ジョンソン氏の調査チームがLGBT向けの出会い系アプリ「グラインダー」の上得意だと揶揄(やゆ)した。ニューサム陣営は1月にも同趣旨の投稿を行っていた。
これに対し、同性愛者であることを公表しているバーニー・フランク元下院議員(民主党)は「性的志向を批判材料に使っており、誤りだ」と批判。リベラル系の米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)も「ニューサムが政敵を『お前はゲイだ』と攻撃」との見出しで批判的に報じた。
ニューサム氏は昨年3月、後に射殺された保守系活動家チャーリー・カーク氏を自身のポッドキャスト番組に招き、スポーツの女子種目に、出生時の性別が男性のトランスジェンダー選手が出場することに反対する立場を表明。今年2月には米CNNテレビで、民主党はLGBTのようなアイデンティティーの問題ではなく「文化的にノーマル」な問題に注力すべきだと主張し、LGBT団体などから批判を浴びていた。
■支持層拡大を狙った戦術か
ニューサム氏は西部サンフランシスコ市長時代の04年、同性カップルに結婚証明書を初めて発行したことで、全米の注目を浴びた。最近の言動は、大統領選を見据えて支持層の拡大を図るための戦術と受け止められている。ニューサム氏の陣営はNYTに対し、出会い系アプリに関する投稿は同性愛者のスタッフが行ったものであり、差別する意図はないと主張した。
だが、LGBT向け雑誌「アドボケート」は、LGBT団体がX投稿に反発していると報じており、ニューサム氏は民主党内の支持を失う可能性もある。米紙「USA TODAY」は「もしニューサム知事の目的が、リベラルから好感を持たれない民主党員になることならば、彼は見事に達成した」と皮肉った。