リアル脱出ゲームなどを手がける「SCRAP(スクラップ)」(東京)が京都市上京区の京町家を舞台にした「謎の館からの脱出」を始めた。1日2公演限定だが、参加チケットが7月まで完売するほど注目を集めている。同社代表の加藤隆生さん(51)は「京町家にはたくさんの物語が詰まっている」と話し、ゲームの発祥地とされる京都で新たなチャレンジをする意気込みを語った。
舞台となる京町家は築130年以上。2階建ての建物だけでなく、蔵や中庭などもあり、4時間という滞在時間の中で謎を解き明かしていく。公演は午前10時からと午後2時からの各1組(最大6人)限定。京町家の場所は「上京区内」と明らかにするだけで、詳しい場所は招待状を受け取った参加者にしか知らされないというこだわりようだ。
加藤さんによると、京町家を丸ごと借り切って実施するのは初めて。約10年間にわたって空き家だった物件を見て、「どんな人が生活していたのかと想像をかきたてられ、次々に物語が浮かび上がった」と話す。
約30年前に京町家の当主が企画した「遺産相続ゲーム」をきっかけに、むごたらしい事件が続発した-との設定。館のさまざまな場所に残された情報や当時の証言などをもとに、事件の真相を探っていく内容になっている。
全世界で1500万人以上を動員しているリアル脱出ゲームだが、実は日本で初めて開催された場所が京都だった。もともとはバンドマンだった加藤さんがフリーペーパー「SCRAP」を手がけ、平成19年に同市下京区でリアル脱出ゲームのイベントを開催。それから約20年の歳月が過ぎ、いろんな団体がマンションの一室や廃校、廃病院など、あらゆる場所で開催するようになった。加藤さんは「とってもうれしい。誰もが楽しめる面白いものをもっと発信したい」と目を輝かせる。
京町家を舞台にしたゲームの参加費は12万円だが、7月までの予約はすでに完売。8~10月分の予約も順調に埋まっている。加藤さんは「この京町家を使ったゲームが10年続いてほしい」と期待する。別の京町家を活用した新たなゲームも検討しており、「歴史のある京都には、物語が詰まった建物がたくさんある。いろいろな場所でリアル謎解きゲームを楽しんでほしい」と話していた。(格清政典、写真も)