三菱電機は2025年度中に、低収益事業について新たに8000億円規模の事業見極めに踏み切る。5月28日に開いたIR Day 2025の全社経営戦略説明のなかで、漆間啓社長が公表した。
同社は2025年度から中期経営計画として「イノベーティブカンパニーへの変革」を掲げ、新たな価値創出として「コンポーネント × デジタル両輪の成長への集中投資」などの改革を打ち出している。
低収益事業については、2024年度までに5000億円規模の撤退・売却を通じた終息を決めているが、これに加えて今年度内で8000億円規模の事業見極めを実施する形だ。
見極め対象事業を選ぶポイントについては、「今後、三菱電機があるべき姿に発展していくために必要な事業なのか」「世の中の趨勢(すうせい)を見ながら、その事業の価値をさらに増大させていくことができるか」(漆間氏)というような要素が重視されると見られる。
漆間氏が対象となる主な事業領域として言及したのは、自動車事業、FAシステム事業、インフラ関連事業など。9つある事業領域を「最適化していく」(漆間氏)という考え方で取り組む。
事業見直しについては、最終的に実質的な撤退を決定する可能性についても明言した。
見極め対象となる8000億円規模の事業の見直しは、端的に利益率の積み上げに寄与する。藤本健一郎CFOは、8000億円規模の事業見極めによる利益率改善効果は最大で0.9ポイントだとする。
筋肉質な事業体質への変化を推し進める一方、今後の成長投資については、3年以内を目処にM&A投資枠1兆円を掲げる。
投資方針として掲げる3つの項目の2つは、いずれも三菱電機における広義のDXに関係しているとみられる。具体的には、デジタルを活用した「事業間シナジーの創出」と、「AI・デジタル領域の強化」だ。
三菱電機はいま、各事業横断のデジタル共通基盤「Serendie」を通じてビジネスモデルの変革に取り組んでいる。Serendie事業を主導する武田聡CDOは、2024年のBusiness Insider Japanのインタビューのなかで、「リスキリングなり、カルチャー変革を進めるためにも、人材を外部から『買ってくる』というのは、特にデジタル分野では必要」だという考えを語った。
これを踏まえると、M&A1兆円枠で買収される一部は、Serendie事業に直接的にかかわってくる可能性は高い。
巨大企業の「マインドセット改革」の本気度。三菱電機・武田CDOに聞く「顧客ニーズ」の大変化 | Business Insider Japan