川口のクルド人問題に河野太郎氏が「参戦」 現地視察ブログに国会質問…なぜいま発言しはじめたのか

政治 東京新聞 2025年05月29日 06:00
川口のクルド人問題に河野太郎氏が「参戦」 現地視察ブログに国会質問…なぜいま発言しはじめたのか

 埼玉県川口市に暮らすトルコの少数民族クルド人を巡り、河野太郎前デジタル相のブログが物議を醸している。事実上、川口市のクルド人をまとめて偽装難民視しているためだ。クルド人へのヘイトスピーチが深刻化する中で、閣僚を歴任し、自民党総裁選にも出馬した人物が、このような主張をするのは無責任で不適切ではないか。(木原育子、森本智之)

◆関係省庁に「早期に厳格な対応が必要」

 今月12日、河野氏は自身のブログに「川口市のクルド人」と題する長文を投稿した。

28日、衆院法務委員会で質問に立つ河野太郎氏(衆院インターネット審議中継より)

 文章は「クルド人の集住が問題視されるようになった地域を視察に行きました」と始まる。クルド人に関して「難民問題の専門家や一部のメディアが現地を調査・取材したところ、彼らの出身地においては地域紛争も政府による迫害も見られず、出稼ぎや移住を目的として日本に滞在していることが明らかにされました」と述べた。

 日本はトルコ国民の短期滞在に対し、査証(ビザ)免除措置を導入している。河野氏はこれを踏まえ、難民申請している川口市のクルド人の多くについて「免除措置により観光、あるいは親族訪問の目的で来日し、クルド人であることを理由に難民申請し、不認定となった後も仮放免中に働こうとする偽装難民だと指摘されている」とし、関係省庁に「早期に厳格な対応が必要」と求めた。

◆SNS上では賛否両論

 関連して、2005〜2006年、法務副大臣を務めた際に「不法就労が特に問題になっている地域を決めて摘発を積極的に行い、強制送還していった」と強調。「同様のことを再び行う必要がある」と求めた。

 交流サイト(SNS)上ではブログを巡り、「参院選前のアピールか」などと冷ややかな見方の一方で「人権問題だと大声で騒ぐやからに屈しないように」などと後押しする書き込みもみられた。

 ブログに対し、難民を支援する「全国難民弁護団連絡会議(全難連)」は河野氏に抗議の申し入れをした。

「川口市のクルド人」と題された河野太郎氏のブログ記事

 「『クルド系トルコ人』といった集団を包括的に難民該当性がないものとして(関係省庁に)働きかけるなどは、原則としてに不適切」と批判。河野氏の主張は幅広さに欠ける調査や取材に基づき、根拠が弱いとし、ブログの削除を要求した。

◆一連の動きに「注目を集めたかったのでは」

 ブログにとどまらず、河野氏は28日、衆院法務委員会でも「クルド人の難民認定申請が急増し、不法就労の問題も川口市で増えている。査証免除の一時停止にならない理由は何か」と質問、トルコ国民へのビザ免除措置の停止を求めた。

 宮路拓馬外務副大臣はトルコとの友好関係などを理由に「停止する状況にあるとは考えていない」と退けたが、河野氏は今後も追及していく意向を示した。

 「こちら報道部」は全難連の申し入れへの見解などを河野氏の事務所にファクスで質問したが、期限の28日夕までに回答はなかった。

 河野氏の投稿や質問の背景に何があるのか。政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「焦りのようなものがあるのではないか」と示唆する。25日公表の共同通信の世論調査で「首相にふさわしい人」のトップは高市早苗氏の21.5%。自民党総裁選をともに争った河野氏は遠く及ばない。「次点(15.9%)の小泉進次郎氏も農相に抜てきされ、石破政権の救世主になろうとしている。自身に注目を集めたかったんだろう」とみる。「ただ、河野氏が法務副大臣をやっていた20年前とは世界情勢も変わり、クルド人の問題も複雑化している」とし、過去の経験を引き合いに出す姿勢にも疑問を示した。

◆「政治家の発言はネトウヨとは重みが」クルド人危惧

 「到底許し難い発言だ」。全難連代表の渡辺彰悟弁護士は河野氏のブログでの主張を強く非難した。

河野太郎氏のブログ記事の一部

 河野氏は「これまで難民認定されたクルド人は1人しかいません」とし「偽装難民」を主張するが、「...

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