アレジオン、ホロライブコラボで新規購入者獲得 ファンの心つかむ流儀

経済 日経トレンディネット 2025年05月29日 07:01
アレジオン、ホロライブコラボで新規購入者獲得 ファンの心つかむ流儀

若年層の間で人気が高まっているVTuberの力を頼り、企業がキャンペーンを仕掛ける例が加速的に増えている。中でも細かい工夫が光ったのが、エスエス製薬だ。花粉症の時期に「ホロライブ」とコラボし、キャンペーン期間中における特定の小売店でのアレルギー専用鼻炎薬「アレジオン20」の売り上げを、キャンペーン直前比1.2倍に伸ばした。花粉症の人からのブランド認知をほぼ取りきっていたアレジオンが、今のタイミングでどう新規購入者を獲得したのか。裏には製薬会社ならではの配慮、そして綿密な作戦があった。

 エスエス製薬(東京・新宿)が、カバーの運営するVTuber(バーチャルYouTuber)事務所「ホロライブプロダクション(以下、ホロライブ)」とのプロモーション施策を行うという新手で、アレルギー専用鼻炎薬「アレジオン20」の顧客数を増やした。

 2024年9月と25年2月の2回のキャンペーンを実施し、キャンペーン期間中の特定の小売店での「アレジオン20」の売り上げを、キャンペーン直前比1.2倍に伸ばした。また、レシートキャンペーン参加者のうち、アレジオンの新規購入者は4割と、新規顧客の獲得に成功した。

 「花粉症の時期を楽しもう」というメッセージを、若年層の間で支持が広がっているVTuberの力を借りて拡散。VTuberとそのファンの強いつながりを通して、花粉症で悩んでいるものの市販薬の使用に抵抗感がある消費者に向けて、アレジオンを手に取るきっかけをつくった。

 実は、「アレジオン」というブランドに対する認知率は、花粉症の人に限定すると9割に上る。ただ、購買ファネルで「認知」の先に位置する「理解」の獲得や、さらに先にある「購買」につなげることが課題だった。

 エスエス製薬ブランド&イノベーションアレジオンブランドマネージャーの住吉光莉氏は「市販薬というカテゴリー自体がとっつきづらいと感じている消費者も多い」と言う。

 そこで、エスエス製薬が有効だと判断したのがVTuberを通したコミュニケーションだった。

 VTuberは、配信者がCGキャラクターに自身の声や動きを連動させ、YouTubeを通して情報発信をする配信者のこと。見た目のデザインや人物背景などの世界観の自由度が高いというキャラクター的な魅力も持ちながら、配信者としての身近さも兼ね備えているのが、特に若年層の心をつかんでいる。

 企業が人気VTuberにタイアップを依頼するケースも相次いでいる。調査会社の矢野経済研究所(東京・中野)が25年4月28日に発表した調査によると、25年度には、前年度比20%増となる1260億円の市場規模に成長すると予測されている。

 VTuberと組もうとエスエス製薬が決断した真意は、どこにあったのか。

 住吉氏は「VTuberとそのファンは、配信を通した相互コミュニケーションが特徴。ファンの熱量が高く、VTuberの発言に対して積極的にSNSなどで反応したり、ファンであることを周囲にアピールしたりする文化がある」と話す。

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