サントリーが高齢者の“推し活”物語を表彰 共感の肝は「誰が語るか」

経済 日経トレンディネット 2025年05月29日 07:01
サントリーが高齢者の“推し活”物語を表彰 共感の肝は「誰が語るか」

日経デザイン2025年6月号特集「物語の生かし方」の第5回は、サントリーウエルネスが主催するアワード「人生100年時代の物語大賞」。高齢者施設に暮らす高齢者が地元Jリーグチームを応援する“推し活”から生まれた「物語」を表彰するものだ。企業は生活者の物語をどのように活用すべきか――。ここにはその重要なヒントがある。

 「のりくんに会いたい」──。

 神戸市の高齢者福祉施設で暮らす御年83歳のテルコさん。認知症を抱えて長らく遠出をしていないにもかかわらず、応援しているJリーガーの藤本憲明選手に会うために、当時の所属チームの本拠地である鹿児島まで850kmの旅に出る。奇しくも、鹿児島はテルコさんの生まれ故郷。藤本選手に会いに行くことで、二度と降り立つと思っていなかった故郷の地を訪れることもできた。

 ドラマのような、本当の話。これはサントリーウエルネスが主催している「人生100年時代の物語大賞」の受賞作品だ。

 テルコさんが藤本選手を応援し始めたのは、サントリーウエルネスが立ち上げた「Be Supporters!(Beサポ!)」というプロジェクトへの参加がきっかけ。

 Beサポ!は普段は支えられる場面が多い高齢者施設に暮らす人たちが、Jリーグチームのサポーター、すなわち支える存在になることで、人生100年時代にもっと輝ける生き方を目指すもの。2024年12月時点では全国約230施設、延べ1万人が参加する活動となっている。

 参加した施設ではみんなで応援グッズを作ったり、リーダーに任命された入居者が応援を盛り上げたりもする。応援を通じて入居者同士の会話が活発になり、いつしか応援が日常の彩りとなっていくのだ。

 この「サポーターになる」というシンプルなきっかけが、それまで施設で起こり得なかった物語を生む。

 そしてサントリーウエルネスは23年から、全国の参加施設からこうした物語を募集し、「人生100年時代の物語大賞」としてアワード形式で表彰している。2回目の24年には、大賞に加えて4つの物語が選出された。

 なぜこのようなアワードを、サントリーウエルネスが行うのか。

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