中国では、大規模な情報検閲システム「グレートファイアウォール(金盾)」が運用され、インターネットが常に厳重に監視されています。中国でも特に人口が多く、国内有数の工業地域のひとつでもある河南省で、当局による検閲が一層厳しくなったことが判明しました。
A Wall Behind A Wall: Emerging Regional Censorship in China
https://gfw.report/publications/sp25/en/
‘Alarming’ rise in regional internet censorship in China, study finds | China | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2025/may/24/alarming-rise-in-regional-internet-censorship-in-china-study-finds
中国は世界で最も高度かつ広範なインターネット検閲体制を有しており、中国のインターネット利用者はWikipedia、Google、FacebookやInstagramなどMetaのサービスを含む西側諸国のニュースサイトやソーシャルメディアプラットフォームのほとんどにアクセスできません。
「グレート・ファイアウォール」と呼ばれるこのシステムでは、政府機関と民間企業が連携してオンラインコンテンツを監視・検閲しており、「センシティブ」とみなされるコンテンツを削除することが法律で義務付けられています。検閲される情報には、中国共産党の公式見解に反する歴史的または時事的な出来事に関する情報も含まれます。
インターネット検閲監視プラットフォーム「グレートファイアウォール・レポート(GFWレポート)」が2025年5月11日に発表した論文によると、2023年11月から2025年3月までの期間、河南省は中国の一般的な地域に比べてウェブサイトのアクセス拒否が平均5倍、期間によっては10倍になっていたとのこと。
この研究で、GFWレポートのMingshi Wu氏らは、クラウドプロバイダーからサーバーを購入し、河南省内の拠点からのインターネットトラフィックの流れを検証しました。そして、インターネット上の上位100万ドメインへのアクセスを毎日テストした結果、河南省では期間中に累計で約420万件のブロックが発生していたことがわかりました。これは、GFWが中国全体でブロックしている約74万1500ドメインの5倍を上回っています。
研究チームは論文に「私たちの研究が、より広範な検閲研究コミュニティに警鐘を鳴らすとともに、中国やその他の地域で台頭しつつある地域検閲を認識するきっかけとなり、さらなる研究を促すものとなることを願っています」と記しました。
この措置が中国共産党の指示によるものなのか、河南省の地方当局が独自に行ったものなのかは不明ですが、河南省で地域的な検閲体制が敷かれるのは異例とされています。なぜなら、河南省は他の地域に比べて特に不安定な地域ではないからです。
ブロックされたドメインの分析では、河南省でブロックされたドメインが主にビジネス関連のウェブサイトだったことがわかっています。河南省では、地元の地銀4行で預金が突然引き出せなくなる事態が2022年に発生し、強硬な新型コロナウイルス感染症対策への反発もあって大規模な抗議活動に発展しており、河南省での検閲が厳しくなったのはこれが理由ではないかと推測されています。
by 荧_Lumine
アメリカの最先端AIに匹敵するオープンウェイトモデル「DeepSeek R1」で西側諸国を驚かせた中国では、AIの台頭が検閲機関とそれを回避しようとする人々の両方に恩恵をもたらしています。
身元の保護のため、漢字での表記を明かさずに論文を執筆したWu氏は、「AIを活用することにより、洗練され、効率的で、適応性に優れた検閲および監視ツールを開発できる可能性があります。一方で、AIは検閲を理解し、回避しようとする人々に新たな機会をもたらします。例えば、AIは検閲を検出するためのより機敏なテストツールの開発を支援することができます」とコメントしました。