自然免疫の仕組み解明、審良静男さんに日本国際賞 新型コロナのmRNAワクチンを後押し

科学・医療 産経新聞 2026年02月01日 08:00
自然免疫の仕組み解明、審良静男さんに日本国際賞 新型コロナのmRNAワクチンを後押し

人類の生活向上に貢献する顕著な成果を上げた研究者をたたえる日本国際賞の2026年の受賞者に、細胞内シグナル伝達経路を解明するなどして現代免疫学の基礎を確立した、審良(あきら)静男・大阪大特任教授(73)が選ばれた。国際科学技術財団が主催する同賞は、自然科学分野で国内最高レベルの賞とされており、日本人の受賞は審良さんが24人目。免疫の重要な仕組みに迫り、新型コロナウイルス感染症のワクチン実用化につながった点などが評価された。授賞式は、4月14日に東京都内で行われる。

「このたび、日本で最高の賞とされる日本国際賞の受賞という大変身に余る光栄を賜り、大きな誇りに感じている」。審良さんは受賞決定後、産経新聞などの取材に応じてこのように語り、笑顔を見せた。

体を守る免疫は、大きく分けて2つある。1つは、侵入者を見つけるとすぐに働き、マクロファージや樹状細胞といった食細胞が異物と認識して取り込む「自然免疫」だ。もう1つは、T細胞やB細胞が働いて侵入者の特徴を覚え、次に同じ種類の侵入者が入ってきた際に狙い撃ちする「獲得免疫」だ。かつては獲得免疫の研究が先行し、自然免疫は手当たり次第に侵入者に対処する大ざっぱで原始的な仕組みと見なされがちだった。だが、体はどうやって異物を見つけ、侵入者と判断して危険信号を出すのか。細胞内のシグナル伝達経路は長く霧の中だったが、審良さんは、その霧を晴らす道筋を切り開いた。

細菌やウイルスなどが体内に侵入すると、DNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)など、侵入者の遺伝情報を担う「核酸」と呼ばれる物質が、細胞内に入り込んだり、壊れた細胞から漏れ出たりする。体にとっては「外から入ってきた証拠」であり、ここに目を付けた。

鍵になるのが「受容体」だ。受容体とは、細胞の表面や内部にある「受け皿」のようなタンパク質で、何かが結合するとスイッチが入り、細胞に行動を起こさせる。受容体の存在自体は以前から知られ、特定の「目印」に反応する仕組みも少しずつ分かってきていた。だが、DNAやRNAは私たち自身の体内にもある。そのため研究者の間では、核酸がスイッチになり得るという発想は乏しく、免疫が核酸を手がかりに侵入者を見分ける仕組みはほとんど見えていなかった。

審良さんは、この見過ごされていた点に真っ向から切り込んだ。2000年、受容体TLR9が細菌のDNAに多い特徴的な塩基配列「CpG」を感知することを発見。2002年には、受容体TLR7がウイルス由来のRNAを感知することを突き止めた。これらにより、自然免疫がセンサーを使って「核酸」を直接見張っている仕組みが見えてきた。

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