大阪市中心部にある土地と建物の不動産登記を所有者になりすまして書き換えたとして、大阪府警は14日、司法書士の松本稜平容疑者(34)=大阪市中央区=ら男性2人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用などの疑いで逮捕した。
容疑者らは勝手に所有者の名義を変更した後、業者などに不動産の購入を持ちかけていたとされる。市内の別の不動産も無断で所有者を変えた疑いが指摘されており、府警は他人の不動産を売買して代金を得る「地面師」グループの可能性があるとみて実態解明を進める。
他に逮捕されたのは、三重県桑名市の電機設備会社元代表、小鹿瑞樹容疑者(33)。
登記簿が不正に変更されていたのは、大阪メトロ中津駅(大阪市北区)近くにある約800平方メートルの土地と建物。住人の80代男性が所有していた。
逮捕容疑は共謀して2025年1月、法務局で偽造した男性の運転免許証を使い、虚偽の登記簿の変更手続きを進めたとしている。
登記簿は変更後、男性が小鹿容疑者の電気設備会社(すでに解散)に売却したとされていた。手続きは、男性の代理人として松本容疑者が申請したことになっていた。
不動産業界の関係者によると、この土地と建物は登記簿が変更された後に約4億~5億円で売りに出され、複数の購入希望者がいたという。
本来の所有者の男性は25年3月、登記簿が知らぬ間に書き換えられたとして手続きの抹消を求める訴訟を大阪地裁に起こした。地裁は5月に訴えを認め、所有権の変更を取り消していた。
関係者によると、この不動産のほかに、ほぼ同時期に大阪市浪速区と中央区で少なくとも二つの不動産で勝手に名義が変更されたとして、所有者らが民事裁判を起こしていた。いずれの手続きにも松本容疑者が関係していたとみられ、府警が経緯を慎重に調べている。
松本容疑者は25年9月、毎日新聞の取材に「通常の業務として(登記変更を)頼まれただけだ」などと関与を否定していた。
25年の大阪・関西万博やインバウンド(訪日客)に沸く大阪では、土地価格の高騰を背景に地面師らによる事件が相次いでいる。
25年には西日本有数の繁華街・ミナミの不動産を舞台に、地面師グループによる約14億円の詐欺事件が発覚。土地の所有者らになりすました男女4人が逮捕や書類送検された。【川地隆史】