大阪府羽曳野市議会の黒川実市議=自民党=が昨年10月、他会派の男性市議に浴びせた「お前あほか」といった暴言がパワハラと認定され、市の「議員のハラスメントの防止等に関する条例」に基づき厳重注意処分を受けていたことが15日、産経新聞の取材で分かった。条例では処分の際に「氏名の公表等必要な措置」を取ると規定しているが、議長判断で処分自体の公表が見送られた。黒川市議はそもそも認定が不当だとして法的手段を検討している。
同条例は昨年2月施行で、関係者によると適用は今回が初めて。
産経新聞の情報公開請求で開示された資料や関係者の話によると、トラブルは昨年10月1日、各会派の代表が集まる幹事長会議で発生。市議の中から監査委員を選出するための協議中、黒川市議が同席した他会派の男性市議に激高。「お前あほか」「常識ないんか」といった暴言を浴びせたとされる。
男性市議からパワハラ被害の申し出を受けてハラスメント調査特別委員会が設置され、トラブルの現場に居合わせた出席者に聞き取りを実施。パワハラ行為があったと認定し、訓告相当の意見を付けて議長に報告した。
同条例は「議長が議員の氏名の公表等、速やかに必要な措置を講じなければならない」と規定。調査特別委が事実認定を行い、ハラスメントが確認された場合は議長に対応が一任されている。
ただ、処分内容や公表の具体的な運用規定はなく、幹事長会議などで対応が協議された。
その結果、外園康裕議長=公明党=は、処分を訓告よりも一段階軽い厳重注意とし、事案概要のみを公表すると決定。同30日に処分を発令する予定だったが、黒川市議は処分を記した書面の受け取りを拒否し、「内容及び手続の公平性に重大な疑義がある」として公表の一時差し止めや正式な弁明の機会を設けることなどを申し入れた。
その後改めて対応が協議され、最終的に議長判断で、議員の氏名どころか概要すらも公表しないことを決定。弁明の機会については「(すでに実施された)調査特別委の聴取の際に与えられた」とした。議会側は文書を簡易書留めで郵送。処分発令とした。
複数の市議会関係者によると、トラブルが起きた昨年10月1日の幹事長会議では、議長と副議長の人選も協議された。男性市議の所属会派が、副議長に加えて監査委員のポストも得ようとしたため、黒川市議が反発したのだという。羽曳野市議会では長年、正副議長と監査委員の「三役」は異なる会派の市議が務めるという慣習があった。
黒川市議は産経新聞の取材に対し「調査特別委の人選や事実認定に疑義があり、処分は到底納得できない。処分の取り消しや再調査を要求し、受け入れられない場合は法的手段も検討する」との見解を示した。
処分を非公表とした判断について外園議長は「必要な措置を検討し、私の判断で決めた」と述べた。(前川康二)