勤続17年の東京海洋大の男性非常勤講師(62)が、無期転換権が認められず雇い止めされたとして地位確認などを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は15日、男性は「労働契約上の労働者」であるとして無期転換権を認め、男性側の逆転勝訴となった。1審は、男性は労働者に該当しないとして請求を棄却していた。有期契約の非常勤講師を巡る雇い止めは各地で起きており、大学教員の雇用のあり方に影響する可能性がある。
2013年4月施行の改正労働契約法は、有期労働契約が通算5年を超えると無期転換を申請できると定めている。
男性側代理人によると、男性は05年から、同大で基礎的な数理知識を教える科目を担当。19年に無期転換を大学に申し入れたが、大学側は、1年ごとの委嘱契約で労働者に当たらないとして拒否した。男性は22年3月に雇い止めされたことから、同年11月に提訴した。男性側は「雇用形態は委嘱契約だが、勤務実態からすれば大学の指揮監督下にあり、実質的には業務委託ではなく労働契約だった」と主張していた。
控訴審判決は、業務内容について「労働者の常勤教員と本質的な違いはない」と判断し、「(男性は)『労働者』に該当し有期労働契約に当たると言うべきだ」とした。大学教員は常勤、非常勤を問わず労働者として処遇するのが「一般的」とし、文部科学省が授業を担当する講師について、通知などでそのように処遇するよう指導を強めている点も指摘した。
判決を受け、男性は「非常勤講師は不安定な立場に置かれ、常にコマ数を減らされるのではと不安を抱えてきた。1審判決はとてもショックだったが、控訴審の適正な判断に安堵(あんど)した。(同じく無期転換できない)他の先生にも良い影響を与えられる判決になってうれしく思う」と話した。【宇多川はるか】