3畳に満たない空間に積み上げられた画材、壁に掛けられたゴッホやフェルメールの模写、床一面に飛び散った絵の具――。会場入り口に掲げられたアトリエの写真が目に飛び込んできた。
アトリエの主で、89歳の現在も一心に創作に取り組む山本一雄さんの初の本格的な個展「山本一雄―小さな部屋から」が、岡山・奈義町現代美術館で開かれている。企画した遠山健一朗学芸員は「部屋自体が一つの絵画のようだった。この小さな部屋で世界に届ける表現がひっそりと生み出されてきたこと、それが今も続けられていることを知ってほしい」と語る。
山本さんは1936年生まれ。幼少時から絵に親しみ、高校では美術部に所属。卒業後、就職してから独学で油彩を始めた。30代半ばでハンセン病を発症、国立ハンセン病療養所・長島愛生園(岡山県)に入所した。「山本一雄」はその時からの園名(仮名)で本名ではない。