「なりすまし投票」防止へ 身分証提示義務を、超短期決戦で投票所入場券の発送遅れ相次ぐ

政治 産経新聞 2026年02月02日 16:44
「なりすまし投票」防止へ 身分証提示義務を、超短期決戦で投票所入場券の発送遅れ相次ぐ

8日の投開票の衆院選は、解散から16日間という「異例の短期決戦」となったため、投票所入場券(整理券)の印刷・発送などの準備が遅れ、期日前投票が始まった1月28日までに有権者のもとへ届かないケースが相次いだ。総務省によれば、入場券を持たない「手ぶら」でも投票できる。他方、別人による「なりすまし投票」への懸念から、身分証の提示義務を含む投票制度の見直しを求める声も上がっている。

一般社団法人「選挙制度実務研究会」の小島勇人理事長によると、昨年7月の参院選では他人になりすまして投票しようとする「詐偽投票」により24人が摘発された。

背景にあると指摘されるのは、投票に際してマイナンバーカードや運転免許証といった身分証の提示を義務付けていない公職選挙法の存在だ。

本人確認に関し、公選法44条は「選挙人名簿又はその抄本の対照を経なければ、投票をすることができない」と定める。

選挙人名簿やその抄本との対照方法は自治体に委ねられており、自治体は、投票所を訪れた有権者に「宣誓書」を渡して住所、氏名、生年月日を記入させ、これらの内容が「選挙人名簿」と合致すれば本人とみなす。

このため、生年月日など個人情報の詳細を知っている別人が「なりすまし投票」を試みた場合、その場で選管担当者が不正を見抜くのは難しい。

関東地方の複数の自治体の選管担当者は、産経新聞の取材に「記入者を信用するしかない」「別人がなりすましてもスルーになっている」と訴えた。身分証の提示を任意で求めるのは、「年齢が選挙人名簿と合致しなかったり、宣誓書に不自然な記入漏れがあるなど不正が疑われる場合に限られる」という。

小島氏は、実際になりすまし投票で摘発される事例があることから、「投票者側も身分証提示の義務がないことを疑問視し始めている。制度を見直す時期にきているのでは」と指摘した。(千葉真)

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