維新候補で与党一本化、地元不満で自民元市議が無所属出馬…情勢混沌の兵庫2区

政治 産経新聞 2026年02月03日 08:00
維新候補で与党一本化、地元不満で自民元市議が無所属出馬…情勢混沌の兵庫2区

当選10回を誇る公明党の前職が中道改革連合の候補として比例単独に回ったことで選挙戦の構図が大きく変化した兵庫2区。与党として臨む日本維新の会の前職と、公明と組んだ立憲民主党出身の中道新人に加え、自民党所属の元市議が無所属で出馬したことにより、保守分裂の様相も呈すなど情勢は混沌(こんとん)としている。

「右肩に日本維新の会、左肩に自由民主党、その両党を両肩に抱いて、唯一の与党公認候補として国政を前に進めていく。負けるわけにはいかない」

公示日の1月27日、維新前職の阿部圭史(けいし)氏は神戸市長田区での第一声で、連立与党の一翼を担う立ち位置に触れ、両党が交わした連立政権樹立の合意書を自身が執筆した、と強調した。

2区は、公明の赤羽一嘉(かずよし)氏が中選挙区時代の平成5年に初当選して以降、民主党が政権を奪った21年の選挙を除いて議席を守り続けてきた。

その強固な公明の地盤に阿部氏が初めて挑戦したのが令和6年の前回衆院選。約7万票を得た赤羽氏に対し、阿部氏は約4万8千票を獲得して次点に食い込み、比例復活を果たした。

赤羽氏の不在は好機でもあり、公示日から維新の吉村洋文代表が応援に入るなど党の支援も手厚いが、陣営関係者は「厳しい戦いだ」と打ち明ける。懸念するのが連立を組む自民側の動きだ。

「自民候補として議席を取りに行かなければ多くの地方議員までが厳しい状況に置かれる。無所属でも、石にかじりついてでも、出る覚悟を決めました」

神戸市長田区内の路上で訴えたのは、無所属新人の坊恭寿(やすなが)氏だ。市議としての20年以上の経験に加え、全国市議会議長会の会長も務めた自民神戸市会の重鎮。自公連立政権下で2区では長らく自民の候補を擁立してこなかったこともあり、2区の同市兵庫、北、長田の各区の自民地方議員は減少しているという。

坊氏の立候補を巡っては党内で紆余(うよ)曲折があった。衆院解散がささやかれ始めた1月12日に出馬を表明した坊氏に加え、党所属の県議も意欲を見せたが、党本部がいずれも公認しないという異例の展開に。背景には新たに連立を組む維新からの強い要望があったとされる。県議は出馬を取りやめたため、党県連は坊氏の公認を再度申請。それでも認められず、県連と党神戸市連が坊氏を推薦し、無所属で選挙戦を迎えた経緯がある。

「唯一の与党公認候補」と名乗る阿部氏に対し、坊氏は「長年、自民に入れたくても入れられなかった方々がいる。候補者が出ないことがどれほど失望させるか」と保守票の取り込みを狙う。

2人に対抗するのが、2区では4度目の挑戦となる立民出身の中道新人、船川治郎氏。公示日には公明出身の斉藤鉄夫共同代表が「中道政治をここから始めよう」と、多くの聴衆を前に声を張り上げた。

これまで対峙(たいじ)してきた公明との合流について、船川氏は「これ以上ない支援を受けている」としつつも、「それぞれの支援者の中には納得できない気持ちもあると思う。自分の人柄を知ってもらうことが大事だ」と話す。ある公明の地方議員は保守票の分裂を念頭にこう明かす。

「坊さんが出馬してくれたのは良かった。票は割れる」

このほか、2区では元県議で共産党新人の井村弘子氏も立候補し「子供や孫、ひ孫の世代に戦争へと向かう日本を引き継がせてはいけない」などと訴えている。(地主明世、高田和彦、宮崎秀太)

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