広がる観光公害 「ここは住宅地です…」 住民から悲鳴、衆院選の争点にも

政治 産経新聞 2026年02月03日 19:34
広がる観光公害 「ここは住宅地です…」 住民から悲鳴、衆院選の争点にも

8日投開票の衆院選では訪日外国人旅行客(インバウンド)を巡る政策も焦点の一つだ。近年は増加の一途をたどり昨年初めて4千万人の大台を突破したが、一部でマナーの悪い観光客に住民が生活環境を脅かされる「オーバーツーリズム(観光公害)」が起きており、国主導での解決を望む声も出ている。

1月の平日昼、江ノ島電鉄鎌倉高校前駅(神奈川県鎌倉市)。車両が到着する度、数十人の観光客らが足早に踏切へ向かう。警報音が鳴り始めると観光客らは次々とスマートフォンを向けた。中国・上海から訪れた男性(30)は「『日本旅行』で調べると必ずここが出てくる。知らない中国人はいないと思う」と話す。

踏切が注目され始めたのは平成29年ごろ。人気アニメ「スラムダンク」に登場する〝聖地〟として人気に火が付いた。現在は1日2千~3千人が訪れる。それに伴い、ゴミ捨てや無許可で客を運ぶ違法な「白タク」の横行など問題が噴出した。

鎌倉市は昨年9月、公園の植え込みを刈って撮影スペースを確保し、警備員も増やした。ようやく観光客が道路にはみ出すことはなくなったが、客が増えれば再びあふれる。地元自治会の菅原能孝会長(59)は「ここは観光地ではなく住宅地なんです。インバウンド(政策)はもう十分ではないか」と訴える。

オーバーツーリズムは全国各地で問題となっている。

国内有数のスキーリゾートの長野県白馬村では落書きや深夜の花火が横行し、昨年12月、それらを禁じる条例案を可決した。白川郷が世界文化遺産に登録されている岐阜県白川村では、年間の観光客数の過半数が外国人となって対応しきれなくなり大型車の駐車料は3千円から1万円に引き上げる措置を取った。

衆院選でも与野党がオーバーツーリズム施策を打ち出す。自民党や日本維新の会、中道改革連合は観光客を平準化するため地方への誘客促進を打ち出す。参政党は受け入れ人数の制限を主張。国民民主党は受益者負担を明確にするため、出国税の入国時課税への変更を提案する。

鎌倉市観光協会の大津定博専務理事(63)は「生活の一部が外国人には一級の観光資源になり得る。いかに地元の生活を守るか。国政レベルで考えてほしい」と話した。(市岡豊大、星直人)

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