NASAが2日朝にも有人月周回の宇宙船打ち上げ 半世紀ぶり月への旅、背景に米中競争

科学・医療 産経新聞 2026年04月01日 22:12
NASAが2日朝にも有人月周回の宇宙船打ち上げ 半世紀ぶり月への旅、背景に米中競争

米航空宇宙局(NASA)は日本時間2日午前7時24分にも、アポロ計画以来54年ぶりに月を周回する有人宇宙船を、米フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げる。飛行期間は10日間で、6日目に月を周回する。日米を含む世界61カ国の合意に基づく国際有人月探査プロジェクト「アルテミス計画」の一環で、成功すれば2028年の有人月面着陸に弾みがつく。

宇宙船は「オリオン」と名付けられ、米国とカナダの宇宙飛行士計4人が搭乗。自由の女神像を上回る高さ約98メートルの超大型2段式ロケット「SLS」で打ち上げられる。飛行5日目に月の重力圏に入り、6日目に月に最接近。7日目に月の重力圏を離れ、10日目となる日本時間11日朝、大気圏に再突入して米カリフォルニア州沖の太平洋上に着水する。

宇宙飛行士らは飛行中、宇宙船内で生命維持装置や通信、宇宙服などが設計通りに機能するかを点検。収集したデータを、アルテミス計画で28年に目指す有人月面着陸に生かす。同計画で最初に月面着陸するのは米国人とみられるが、早ければ同年後半にも日本人宇宙飛行士が日本初の月面着陸を果たす見通しだ。

月は地球から約38万キロ先にある最も近い天体で、東西冷戦が激化した1950~60年代は米国とソ連が有人探査の一番乗りを競い、1969年にアポロ11号で米国が勝利した。しかし、その米国もベトナム戦争の泥沼化による財政負担などで熱が冷め、有人月探査は半世紀以上にわたって途絶えていた。

それが近年は、チタンや鉄をはじめとした多様な資源や、火星などさらに遠い天体の探査での拠点となる利用価値から、月への関心が急速に高まってきた。米国が主導するアルテミス計画は代表例だが、中国も2030年までの有人月面着陸を掲げ、ロケットや宇宙船、月着陸船などの開発を推進。米中間で月探査の主導権争いが激化している。

今年に入り、米国は月面基地構想を加速し、29年ごろに建設に着手する方針を打ち出した。その実現は、月面着陸に先立つ有人月周回の成功が前提だ。アルテミス計画が中国との競争に打ち勝つためにも、今回の飛行は極めて大きな意義を有する。(伊藤壽一郎)

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