見た目がそっくりな小鳥が、実は別の種だった。日本の島で繁殖するムシクイの仲間で、これまで同じ種とされてきた個体群の一部が、新種として学術誌に報告された。国内で新たな鳥類種の学名命名を伴う報告は1981年のヤンバルクイナ以来、45年ぶり。発見の重要性はDNAの解析などによって、通常見えにくい「隠れた生物多様性」を新たに掘り起こした点にある。生物多様性危機の時代にあって、保全を考える上でも、重要な基盤となると期待される。
ムシクイ科の鳥「イイジマムシクイ」は、東京都の伊豆諸島で繁殖することで知られる小型の鳥で、全身がオリーブ色をしている。このイイジマムシクイとそっくりで、同種とされてきた個体群が、直線距離で約1000キロ離れた鹿児島県のトカラ列島の中之島で繁殖していることは、1980年代から知られていた。
羽の色に差はなく、いずれも体長12センチとメジロ程度の大きさ、東南アジアで越冬する。形態や鳴き声での識別は難しく、イイジマムシクイは伊豆諸島とトカラ列島の一部で繁殖すると理解されてきた。
今回、山階鳥類研究所や森林総合研究所、海外の大学や研究機関による国際共同研究チームは、遠く離れた地域個体群が同種との前提に疑問を持ち、遺伝子解析や音声解析を含む総合的な比較分析を行った。その結果、伊豆諸島とトカラ列島の個体群は、遺伝的に大きく異なることが明らかになった。
全ゲノム配列や母方から受け継ぐミトコンドリアDNAの配列を比較解析した結果、両者は推定280万~320万年前に、共通祖先から分岐したことがわかった。また、両者の間で遺伝的な交流は確認されなかったという。