外国人不法就労の防止に向けて茨城県が導入する通報報奨金制度に対し、撤回を求める意見が各種団体から寄せられていることを受け、大井川和彦知事は2日の記者会見で「違法行為への是正措置で、差別や偏見を助長するとの主張は成立しない」と反論した。また、団体側の指摘に対する「茨城県の見解」と題した文書を発表し、制度の正当性を訴えた。
県は、報奨金制度に加え、事業者に対する雇用状況調査実施などを盛り込んだ条例の制定も目指しており、全国最高水準にある外国人不法就労の防止を図る取り組みを強化している。
報奨金制度は、外国人を不法に雇用する事業者に関する情報を県が募り、事実と認められる場合に県警に通報する仕組みだ。摘発につながるなどの有益な情報を提供した場合は1万円程度が支払われる。
特定の外国人への誹謗中傷などを防ぐため、通報者には氏名や住所、連絡先の明示を求め、匿名の通報や外国人個人に関する情報は受け付けない。
制度導入を巡っては、これまでに県弁護士会や在日本大韓民国民団(民団)、共産党系の政治団体「いのち輝くいばらきの会」などが、撤回を求める声明発表や要請を行っている。県弁護士会は声明で「不当な偏見と差別と分断を生じさせる」と主張した。
出入国在留管理庁によると、令和6年の全国の不法就労者は1万4453人で、うち茨城県は3452人を占め、最多だった。
こうした状況を念頭に、大井川知事は「違法行為の是正は行政の基本責務」と強調し、撤回要求は是正措置を放棄せよと求めるに等しい主張だと断じた。
県の報奨金制度を、不法滞在や不法就労などの情報提供に対する国の報奨金制度を補完するものだと位置付けた上で、「人権侵害」といった批判は「理解に苦しむ」とも述べた。また、差別や人権侵害につながるという指摘に対し「安易なレッテル貼りの議論で、地域の分断を深めかねない」との見方を示した。(森山昌秀)