[社説]ミャンマー政権は内戦止めよ

国際 日経新聞 2026年04月07日 19:00

ミャンマー国会でミンアウンフライン前国軍総司令官が新大統領に選出された。2021年の軍事クーデターで文民政権を転覆した首謀者が権力を保持し、実質的な軍事政権が続くことになる。

形だけの民政移管で国際社会への復帰を目指すが、現状では認めがたい。拘束中の民主派らを解放し、反軍勢力との暴力の応酬に歯止めをかけるよう強く求める。

軍政は主要な民主派を排除して総選挙を強行し、国軍直系の連邦団結発展党(USDP)を圧勝させた。非民選の軍人議員と合わせて8割超を親軍派が占める国会は、3日に軍政トップだった前総司令官を大統領に選んだ。

新大統領は10日に就任宣誓する。2人の副大統領もそれぞれ軍政下の首相とUSDP議員で、あからさまな親軍政権が発足する。

新政権が狙うのは経済再建だ。民主化が進んだ10年代は年率7%程度の高成長で「アジア最後の経済フロンティア」と呼ばれた。政変後は反軍勢力との内戦や昨年3月に起きた大地震の影響などでマイナス成長に陥った年が多い。

低迷の脱出には、政変後に米欧が科した経済制裁を解除させ、外資誘致を進める必要がある。新大統領は「民選」を主張し、政権の正統性を訴えていくとみられる。

ただ政変時に拘束され「汚職」などで有罪になったアウンサンスーチー氏を含め、1万4千人を超す政治犯が収監されたままだ。

武力弾圧の死者は約8千人に達した。総選挙を終えた1月末以降も増え、手を緩める気配はない。反軍勢力も報復をエスカレートさせ、暴力の連鎖が止まらない。

国際社会の反応は分かれる。中国やロシアが新大統領の選出に祝意を寄せた一方、米欧は様子見を続ける。東南アジア諸国連合(ASEAN)も現時点で選挙結果を承認していない。

日本は木原稔官房長官が「情勢改善に向けた働き掛けを強化する」と述べた。新政権に暴力停止を求めつつ、内戦下の避難民などへの人道支援に取り組むべきだ。

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