沖縄県名護市辺野古沖で修学旅行中の同志社国際高(京都府京田辺市)の生徒らが乗った小型船2隻が転覆し、当時2年生の武石知華(ともか)さん(17)と船長が死亡した事故で、インターネットの投稿プラットフォーム「note」に「辺野古ボート転覆事故遺族メモ」とする文章が投稿されている。知華さんへの思いや悲しみを記す一方、学校の安全管理のずさんさなどに疑問を呈している。
事故は3月16日に発生し、「妻と長女と相談しながら父が執筆しています」とする投稿は28日に始まった。これまでに5件の文章を発信し、投稿を決めた理由について「誤情報や誹謗(ひぼう)中傷の訂正」や「事実解明につながる情報を広く収集する」ためとしている。
投稿によると、知華さんは2008年生まれ。4歳上の姉を慕い「どこに行くにも笑いの絶えない4人家族でとても幸せな日々でした」と振り返る。2歳半で父親の仕事の都合でインドネシア・ジャカルタに移住し、11歳までインターナショナルスクールに通った。「人種、母国語、文化、宗教が豊かに入り交じる環境の中、慣れない英語で、姉と一緒に一生懸命頑張っていました」
帰国後の進路には、姉が「自由な校風、英語力が伸ばせる環境と、これ以上ないほど魅力的」として先に学んでいた同志社国際高を選んだ。友人とアイドルのライブに行くなど充実した日々を送り、米ハーバード大のサマースクールにも参加。米国の大学進学を目指して勉強に励み、将来をしっかり見据えていた。
修学旅行では、船上からサンゴ礁を見ることを楽しみにしていた。ところが、その船で事故は発生。海上保安庁によると、16日午前10時過ぎ、生徒18人を含む計21人が分乗した2隻の小型船が相次いで転覆。2人が死亡し、14人が重軽傷を負った。教員は乗船しておらず、当時は名護市沿岸部に波浪注意報が出ていた。
第11管区海上保安本部(那覇市)は3月中旬、転覆した2隻を運航していた市民団体「ヘリ基地反対協議会」の事務所を業務上過失致死傷などの容疑で家宅捜索した。2隻は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設計画に伴う埋め立て工事に対する海上抗議などに使われていた。
学校側は「安全への配慮、乗船を依頼するにあたっての調査が不足していた」と釈明したが、投稿では学校が旅行のコースを決定した経緯や、安全性を確認する体制が整っていたのかなどについて疑問を呈している。
3月30日付の投稿には、知華さんを失った心情がつづられた。「明るく、優しく、聡明(そうめい)な子でした。家族想(おも)いで、家族で出かけるのをいつも楽しみにしてる子でした。家族4人で過ごせる幸せな時間はずっと続くものと思っていました。本当に、どうしてこうなってしまったのか」
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毎日新聞は投稿者とのメールでのやり取りなどを踏まえ、発信内容について報じることとしました。【鈴木健太郎、平川昌範】