マンション盛り土に「災害恐れ」 地裁が渋谷区に「工事停止を」

経済 毎日新聞 2026年04月10日 16:30
マンション盛り土に「災害恐れ」 地裁が渋谷区に「工事停止を」

 東京都渋谷区・富ケ谷のマンション建設を巡り、一時的に造成された盛り土による土砂崩れの危険があるとの周辺住民の申し立てに対し、東京地裁は区に、工事の停止を業者に命令するよう義務づける仮決定を出した。28人が犠牲になった静岡県熱海市の土石流災害(2021年)をきっかけに成立した盛り土規制法に基づき、一時的な盛り土でも許可が必要だと判断した。都心部でマンション建設が相次いでいる中、土砂災害が起きないよう慎重な対応を求めた形だ。

 同法に詳しい専門家によると、盛り土規制についての行政の運用を巡り、司法が判断を出すのは、今回が初のケースという。

 3月31日付の決定によると、建設業者は24年に土地を取得して地上3階、地下1階建ての鉄筋マンションの建設を計画した。業者は同法の許可を取らないまま、建物や擁壁の撤去工事を始めた。高さ4メートル、幅80メートル、奥行き5メートルにわたって土砂を削り、約10メートルの高低差がある傾斜地の上に盛り土した。

 土砂崩れを心配する周辺住民が25年10月、工事停止を命令するよう区に求める申し立てを地裁にしていた。

 区側は、盛り土はマンション建設に向けた一時的なもので、許可は不要だと主張した。だが地裁は、一時的な盛り土を規制の対象外とする対応について、「土砂の流出による災害から国民の生命を守ることができない恐れがある」と指摘した。

 区は7日、東京高裁に即時抗告した。区の担当者は「区の主張を説明していきたい」と述べた。

 マンションは27年8月に完成予定だったが、仮決定を受けて業者は工事を止めている。担当者は「(今後の方針は)区と協議していきたい」と話す。【寺田剛】

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