中国の習近平共産党総書記(国家主席)=1月29日、北京(AFP時事)
【北京時事】台湾最大野党・国民党の鄭麗文主席(党首)と会談した習近平共産党総書記(国家主席)の念頭にあるのは、来月中旬に控えるトランプ米大統領の訪中だ。国民党との「融和」を演出することで、対中防衛協力を深める米国と台湾与党・民進党の頼清徳政権を合わせてけん制する狙いがある。
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「両岸(中台)の同胞はルーツを同じくし、血脈でつながる運命共同体だ。家族同士よく話し合えば、解決できない争いはなくなる」。習氏は会談で「中華民族」という言葉を繰り返し、中台の一体性を強調した。
台湾問題は来たる米中首脳会談の焦点の一つ。習氏としては、この時期に国共両党トップが「両岸は一つの家族」だとアピールすることで、中台統一の「必然性」を米側に示せるとの打算がありそうだ。
トランプ氏は訪中後に台湾へ約140億ドル(約2兆2300億円)の追加の武器売却を承認する意向と報じられており、習政権はこうした動きを阻止したい考え。中国側はトランプ氏に対し「台湾独立に反対する」と明確に宣言するよう求めているとされる。首脳会談では、習氏が経済・貿易分野で米側に有利な条件をのむ見返りとして、台湾問題で譲歩を迫る可能性がある。
習政権にとって、鄭氏の訪中は対日政策の観点からも好都合だった。鄭氏は8日、国民党創設者である孫文が眠る「中山陵」を墓参した際の談話で、中台関係について「日本帝国主義のやいばに切り裂かれた傷は癒えていない」と語った。高市早苗首相の台湾有事発言に反発し、日本で「新型軍国主義」が台頭していると主張する習政権と調子を合わせた格好だ。
台湾では軍事的威圧を続ける中国への警戒感が強く、鄭氏の行動には懐疑的な見方が多い。習政権は、鄭氏が「台湾の主流民意を反映している」(国務院台湾事務弁公室)とのプロパガンダに躍起だ。人民日報系の環球時報は、台湾人は民進党政権がつくり出す「戦争の気配」におびえ、「中国との交流を切望している」とする社説を展開した。