来年大統領選を控えたフランスでは反移民を掲げる極右政党の伸長に注目が集まる。だが、左派の過激化が静かに進行することも見逃すべきではない。3月の統一地方選では、極左「不屈のフランス」が社会党、共産党の牙城を切り崩し、次々と市長を誕生させた。白人優位社会の変革を唱え、移民社会の若者に熱狂的な支持を受けている。
「レーニン通り」に「ダントン駅」-。パリ郊外には、革命家の名前を冠した地名があちこちにある。この地域は「赤いベルト」と呼ばれ、共産党と社会党が戦後、一貫して各地の市政を担った。労働運動の拠点がフランス最大の移民街に変わった後も、両党は差別や貧困解消を訴えて有権者を吸収してきた。
だが、「不屈のフランス」はこんな左派戦略を覆した。移民に同化を促す統合モデルに「ノン」を突き付ける。
パリの北郊ラクールヌーブの新市長アリ・ディウアラ(39)は、その尖兵だ。3月の選挙で勝利し、約70年続いた共産党市政を終わらせた。ガンビア系移民の息子で、低所得者層向けの公団で育った。SNSで連発する発言には白人社会への憎悪がにじむ。中道左派すら攻撃の対象になる。