イランが事実上封鎖するホルムズ海峡を米国が「逆封鎖」し、情勢は予断を許さない。だが、今後の動向に関わらず鮮明になったのは、イランが最短の場所で幅30キロ余りという海運の要衝を「いつでも人質にできる」(欧米外交筋)という事実だ。
イランは軍事的には米軍に圧倒されている。しかし、無人機や無人艇など安価で生産の容易な兵器によって散発的にでも船舶を攻撃できれば、安全面を懸念する商船の大多数は航行を停止する。イランはそうして原油などの供給不安を再燃させることができる。
エネルギー問題に詳しいメーガン・オサリバン米ハーバード大教授は、米外交誌フォーリン・ポリシーの6日公開の対談で、イランがエネルギーを武器にできる「戦略的優位性を世界に証明した」と指摘。停戦と引き換えに「イランがホルムズ海峡の支配権を断念することはあり得ないように思える」と話した。
こうした「エネルギーの武器化」には歴史的な前例がある。
1973年の石油ショックは、イスラエルとエジプト・シリアが交戦した第4次中東戦争に伴い、アラブ産油国が原油の公示価格引き上げや、親イスラエル諸国への禁輸を断行して起きた。資源国による揺さぶりを受け、世界各地で給油所に長い列ができた。