「Arc」から「Dia」へ--The Browser Companyがブラウザー開発の軸足をAIに移す理由

科学・医療 ZDNet Japan 2025年05月28日 08:55
「Arc」から「Dia」へ--The Browser Companyがブラウザー開発の軸足をAIに移す理由

 The Browser Companyは、「Arc」ブラウザーの開発を中止し、AIを重視した新しいブラウザー「Dia」をリリースする方針を示している。

 2022年4月に初めてリリースされたArcブラウザーは、従来のブラウザーとは異なるUIと優れたタブ管理機能により、多くのユーザーから熱狂的に支持された。The Browser Companyは、機能的で美しいウェブブラウザーを開発したと言えるだろう。

 しかし残念ながら、Arcがデザイン面で成功を収めたにもかかわらず、The Browser Companyは方針を転換し、Arcほど「異質」でも「複雑」でもない、AI中心の新しいブラウザーに注力するとしている。

 同社はArcの開発において、幾つかの問題点を認識していたようだ。最大の要因は、Arcの普及が進んでいないというデータがありながら、それに対する適切な対応が遅れたことである。加えて、AIをもっと早く取り入れるべきだったとも述べている。

 The Browser Companyは、「ブラウザーが私たちの生活に不可欠なソフトウェアであるにもかかわらず、その重要性が十分に認識されていない」というシンプルな認識から設立された。この理念に基づき、同社は従来のブラウザーとは異なる、非常に効果的なワークフローと美しいデザインを両立させたユニークなウェブブラウザーを開発した。

 しかし、Arcユーザーへの書簡によると、同社は大きな問題を抱えていた。

 Arcの開発と提供から数年が経過したころ、われわれは「新規性税(novelty tax)」と呼ぶ課題に直面し始めた。多くのユーザー、おそらくあなたもその1人だろうが、Arcを支持してくれ、リリース当初から安定した自然な成長を遂げてきた。しかし、大多数の人々にとって、Arcはあまりにも斬新すぎ、習得すべき新たな要素が多すぎたにもかかわらず、それに見合うだけの便益を感じられなかった。

 2023年になり、The Browser Companyは「ChatGPT」や「Perplexity」といったAIがGoogleを脅かし始めていると認識した。これはユーザーの行動様式を根本的に変え得る動きであり、同社にとってDiaはまさにその流れに乗る最適な次の一歩だと考えられた。

 では、Arcは一体どうなるのだろうか。おそらく、「The Browser CompanyはArcをDiaに統合できたのではないか」と考える人もいるかもしれない。

 同社はDiaによって、Arcでの失敗を挽回しようとしている。Diaは、Arcが重視した新規性よりもシンプルさを追求し、速度を犠牲にしないことを基本としているため、Arcはもはや選択肢とはなり得ない。

 Arcの独自性こそ、筆者が使い続けてきた理由であり、Arcを高く評価していた身としては、DiaがAIを搭載した単なる「Chromium」のクローンに終わらないか懸念している。しかし、この懸念が取り越し苦労に終わることを願うばかりだ。

 The Browser CompanyはもはやArcを積極的に開発していない。では、この素晴らしいブラウザーは今後どうなるべきか。筆者はArcがオープンソース化され、他の開発者が引き継いで開発を継続することを望んでいた。しかし、Arcは単なるChromiumの派生版ではなく、「ADK(Arc Development Kit)」という独自の基盤技術を使用しているため、それは難しいだろう。同社にとって、ADKは「秘伝のタレ」と言えるものであり、Diaの基盤でもあるため、Arcがオープンソース化される可能性は低い。

 同社は、Arcの今後の方向性を模索しており、ユーザーからの意見を求めている。最高経営責任者(CEO)のJosh Miller氏にメールで意見を送ることもできる。

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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