米国と中国が90日間の関税合戦「停戦」で合意。米国の輸入業者や港湾、海運会社は対応を急いでいる。4月の相互関税発表後に急減した海運予約が逆に急増し、処理能力が逼迫し運賃が上昇するとの予想もある。それでも関税率はなお過去最高で、米国業者が備蓄を増やしていたこともあり、海運業界の今後は不透明だ。
米中貿易戦争が90日間の「停戦」に入り、米国の輸入業者はその間に今年のブラックフライデーやクリスマス向け商品の備蓄を急ぐ。それに伴い、港湾や海運会社は、需要の「ウィップソー」(コスト上昇をもたらす乱高下)に注意を向けている。
米国のドナルド・トランプ大統領が4月の「解放の日」に相互関税を発表した後、中国から米国に向かうコンテナ船の予約は急減した。だが今回の停戦合意で、逆に急激な輸入拡大が生じ、米国の港湾の処理能力が試される可能性があるとアナリストは警告する。
デンマークの海運コンサルティング会社ベスプッチ・マリタイムのラース・ジェンセン最高経営責任者(CEO)は「まず、米国の港に到着する貨物量が大幅に縮小。次にそれが急増する。中国の埠頭近くで船積みを待っている商品が米国に向けて出荷されるのだ。新型コロナウイルスのパンデミック中に見られたウィップソー効果とまったく同じだ」と語った。
米中両国政府は5月12日、相互関税の一部を90日間停止すると発表した。これを受け、海運会社や港湾は予想される取扱貨物量の急増に対処しようとしている。そのため、国際貨物輸送の予約・決済プラットフォームを運営する香港のフレイトスによると、「一定期間、処理能力の逼迫と、一部では装備の不足」が見込まれるという。
米中関税合戦の停戦合意で、中国からの輸入品に米国がかける関税率は、少なくとも90日間は145%から30%に引き下げられる。その間、両国間で交渉が続く。
米国の小売業者は、書き入れ時であるブラックフライデー・セールとクリスマス向けの商品を、例年ならば7月から10月半ばまでに輸入する。しかし今年は、8月10日に停戦が終了する可能性に備えて、注文を前倒しすると見られる。
その結果、企業は今後数週間、コンテナ運賃の上昇と、「仕出地と米国の仕向地の両方」である程度の遅延に見舞われるだろう。フレイトスの調査責任者、ジュダ・レバイン氏は5月12日に顧客に送ったメモにこう記している。
12日に発表された関税引き下げの影響が数字に表れるまで少し時間がかかる、とアナリストは指摘する。船が米国に到着するまで4~6週間かかる。つまり、これから数週間はまだ、輸入貨物は減り続ける。
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