足場で宇宙事業に初参入 「カイロス」手がけた大阪のメーカー

社会 毎日新聞 2026年04月04日 08:30
足場で宇宙事業に初参入 「カイロス」手がけた大阪のメーカー

 宇宙ベンチャー「スペースワン」が開発した小型ロケット「カイロス」を組み立てる「移動式射点組み立て足場」は、宇宙関連事業に初めて参入した大阪市の機械メーカー「光洋機械産業」が手がけた。3月5日の3号機打ち上げは失敗したが、産業の裾野は広がり、カイロスに夢を託す人たちの輪は広がっている。

 和歌山県串本町にある民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」で、カイロスを囲う高さ約19メートルの緑色の足場。パーツに分けて運ばれてきたカイロスをこの中で組み立てる重要な施設だ。発射場のレール上を足場全体が移動する特殊な構造である上、強風が吹いてもロケットとともに倒れないように急いで分解できるようにしている。

 光洋機械産業は、生コンプラントや建設現場の仮設足場などを生産。そうした実績を買われ、スペースワンから依頼されたという。

 「最初はロケットの組み立て方や仕組みが分からず、求められるものを一つ一つ実現していった。民間企業の製品だから費用面で限りがあり、工夫して乗り切った」。開発を担当する同社の千坂修執行役員(56)は試行錯誤した当時を振り返る。兵庫県西脇市にある工場で足場を製作し、初号機のために2022年に納入した。

 カイロスは24年3月に初号機の打ち上げに失敗。発射直後に爆発し、敷地が1000平方メートル近く焼損したが、組み立て足場に問題はなかった。2号機、3号機でも最初に納入したものを使い続けているという。

 3月5日の打ち上げ当日は、直川雅俊社長(66)や社員7人が発射場近くの見学場で空高く上がるカイロスを見届けたほか、約400人の従業員がオンライン中継を視聴した。

 直川社長は「ロケットの飛ぶ姿にこみあげるものがあった」と感無量な様子だった。カイロスは人工衛星を軌道に投入できなかったが、直川社長は「途中までは順調だった。次は期待できる」と前向きに受け止めていた。【加藤敦久】

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